週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。
昨年と今年のこれまでのドライビングディスタンスの記録を比較すると、明らかにツアープロたちの飛距離が伸びているのがわかる。これでは本来「飛びすぎ」に規制をかける目的だったはずの高反発規制の効果がまったく表れていないわけだが、まずはプロたち自身に飛距離アップの原因を分析してもらった。 今季20ヤードも飛距離アップした塚田好宣は「理由は2つあって、去年のオフにスウィングを変えたことで10ヤード、2つ目はボール(タイトリストのプロV1X)で10ヤードのアップですね」と言う。また13ヤード伸ばした小山内護は「僕は去年から低反発モデルを使っているので、クラブで飛距離が変わったということはないでしょう。今年換えたのはボール(マックスフライ・スピード)。たぶんそれが理由だと思います」とのこと。 10ヤードアップの鈴木亨は「去年のオフから筋トレを本格的に行ったこと。次にドライバーのシャフトを換え、クラブとボール(プロV1X)とのマッチングが良くなったことが最大の要因だと思います」とのこと。 では、実際に去年まで使っていた高反発度ドライバーはプロたちにとってどんな効果があったのか。 今年9ヤード伸ばした米山剛曰く、「ヘッドスピードのあまりない人にとって高反発はメリットがあるみたいですが、僕たちにはさほどメリットがないのでは。今年データとして飛距離が伸びているのは、スウィートエリアの広いドライバーで打っているので、曲がりが少なくフェアウェイキープができているからだと思います」と分析。 小山内護は「高反発は僕らが打つとフェースで球が滑ったり、タイミングが悪いと右にスッポ抜けることがあったから使わなかった」と言う。また、鈴木亨は「低反発のほうが球の“ひっつき”がいいので、コントロールが効くし、本当につかまったときは飛距離も出る」との意見も。 多くのプロが飛距離アップの理由として挙げるボールは、タイトリスト・プロV1Xやマックスフライ・スピードといったボールで、いずれも今年投入されたモデル(マックスフライ・スピードは国内での販売予定はない)。ちなみにプロV1Xは塚田好宣、鈴木亨、平塚哲二らが使用。マックスフライ・スピードは小山内護らが使用している。 一方、メーカー側では「データや計測の結果、基本的にはボールの性能だけではなく、クラブとのコンビネーションやダウンスウィングの入射角が合った人は飛距離が伸びています」(タイトリスト・プロ担当)。 「米国では飛距離が伸びたと評判でしたが、日本では7月のツアー選手権でプロが使い始めたばかりなので評価が定まっていませんが、使用プロの小山内護は5位、武藤俊憲が4位と飛距離は出ています」(マックスフライ・スピードを出しているテーラーメイドのプロ担当)。 つまるところ、プロたちの体力アップやボールの性能アップで飛距離を伸ばしているということのようだが、プロたちの飛距離制限を当初の目的とし、あれだけ市場を混乱に陥れた高反発規制とは一体なんだったのかと思わせるデータではある。