週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。
「たとえば、東北アマ選手権の会場で、他県の選手は目標順位やその先の日本アマの話題をするのに、福島の選手の話題は決勝ラウンドに進めるかどうか。それくらいレベルが違ったんです。それが情けなくって、ね」と語るのは、3年前にも日本アマに出場している松本守正さん(47歳、会社経営)。そこで3年ほど前から、皆で切磋琢磨することでこの低迷から脱したいと考えるようになった。しかし、もともとアマチュア界には、クラブ単位の研修会や複数クラブが協力して行う合同研修会といった上達の場があるはずだが。 「でも、研修会はクラブメンバーじゃなければ参加できないでしょ」(松本氏) つまり、従来の研修会では加われない若手が多く、地域全体のレベルアップにはつながらない。そこで県内の若い競技ゴルファーに声をかけ、昨年9月に「ゴルフ塾」という研修組織をボランティアで結成、自ら塾長となり活動の指揮を執ることにした。当初の呼びかけに30人ほどが集結、その平均ハンディは3という、県を代表するトップアマの集団となった。現在は「競技ゴルフの頂点を目指す」という気概のある者ならジュニアや女子、あるいはハンディ10以上でも入会を認め、52人にまで膨らんだ。 活動の内容は、月2回練習場で約2時間の練習と月1回のラウンド研修。しかし、練習場で行うのは、スウィングチェックはその一部で、ルールの勉強会やメンタルトレーニングの研修、そしてクラブチューニングの研究にも時間を割いている。 「まず、競技会で勝つことが目的ですから。さらに、メンバーがもっと増えれば、何人かのコーチ役が必要になるでしょう。コーチづくりに、こうした勉強は欠かせない」と松本氏。そして、彼自身はいずれこの塾でジュニアを基礎から育てることを夢見て、こうした勉強に励んでいるのだという。 もともと実力者の集団とは言え、同塾からは今年の日本アマに2人が進出。そのうちのひとり、内藤寛太郎選手(大学3年)は予想を上回る大健闘で、日本オープンの出場権(予選ラウンド5位)を得た。松本氏も、同塾のレベルアップに確かな手応えを感じているという。 しかし、地域のレベルアップを図るのには、こうしたプライベート組織のほうが効果的なのだろうか? 関東の某クラブのクラチャンでもあるアマチュア選手は「私も所属クラブの研修会にはメリットを認めてなくて、なるべく外の上手い人とプレーし、教えを乞うようにしてきました」と上達の過程を語る。 また、もちろんすべてのクラブではないが、「研修会とは名ばかりで、ローハンディがただ仲良くラウンドしているだけのところが多く、中には年長者がニギリを強要し、若手を困らせる研修会もあるそうです」と内情を明かす。 ならば、地域ゴルフのレベル向上を目標に、今後も同様のプライベートな研修組織が立ち上がる可能性はありそうだ。