週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。
パスチャーというのは、英語で牧草地とか放牧地の意味だが、その名の通り、牧場や農地を利用して、簡単なグリーンを作って、ピンフラッグを立て、プレーをするというもの。 「きれいに整備された、お金のかかったコースでプレーするのではなく、もっと自然のままのゴルフを楽しもう、そして、こうしたゴルフがあることを知ってもらおうと思って、パスチャー・ゴルファーズ・アフィシオナード(熱烈な愛好者)・ソサイエティ(以下、PGAS)ができあがったんだ」と、この協会の創立者のひとりであるブルース・マンクラーク氏は語る。 現在、35コースがパスチャーゴルフのウェブサイト(www.pasture golf.com)に紹介されており、さらには、現在10コースが公認コースに加わるための審査を受けている最中とか。 ひと口にパスチャーゴルフといっても、コースは、それぞれ個性を持っていて様々だ。 たとえば、ケンタッキー州のリンズバークGCは、牛が放牧されている牧場の中に作られているし、ウィスコンシン州のアーギュメントGCは、トウモロコシと大豆の畑の中にある36ホール。いわば、なんでもありのゴルフ場なのだが、共通するのは、できるだけ手をかけずに自然のままの状態に近いこと。もちろん、カートもキャディもいないセルフのプレーで、クラブハウスが馬小屋や納屋だったりするのだ。そのため、料金は3ドル~15ドルと格安で、ゴルフが好きな仲間が集まって、スコアをさほど気にせずに楽しもうというものらしい。 PGASは、そんなゴルフ場を作った仲間(オーナー?)が集まって作った協会だけにいたって大らかで「メンバーの数は、とくに統計を取っていないので正確にはわからない。50名以上100名以下といったところで、メンバーになるのは無料。パスチャーゴルフコースを造って、協会の趣旨に賛同してくれる人間なら誰でもなれる。その代わり、メンバーになっても特典もなければ、責任があるわけでもないけどね」(前出・マンクラーク氏)と話す。 とくに、協会としてトーナメントを開催することはないが、オレゴン州ポートランド近郊にあるドルトンウッドゴルフコースでは、年2回、200~300人の仲間たちが集まって、試合を開催している。公認外のコースも含めればトータル70~80コースはあるというのだから、相当の人数のゴルファーが、パスチャーゴルフにハマリつつあるようだ。 とくにここ数年のアメリカのゴルフ場が、より速く整備されたグリーンや、絨毯のようなフェアウェイ、人工的な池を配したデザインなどを求め続け、100ドルを超えるグリーンフィが当たり前になりつつある中、このパスチャーゴルフは、そうした商業的、人工的なゴルフの現状に対する強烈なアンチテーゼなのかもしれない。