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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。 内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。 |
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週刊ゴルフダイジェスト 9/2号 |
2003年更新 |
緑営グループが民事再生申請、スポンサーは
またもや外資のGS、これで約80カ所傘下に
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8月4日、国内に20コース(9Hのショートコース1カ所含む)を有し、ゴルフ場経営大手グループの一角を占めていた緑営グループが、東京地裁に民事再生手続の開始を申立てた。負債総額は緑営開発(株)、東京湾観光(株)、東京リゾート(株)のグループ中核3社を含む9社合計で実に3111億円。平成9年に和議申請した際の日東興業グループ全体での負債が3454億円だったことを考えると、かなりの大型倒産といえるだろう。
緑営グループ発表のリリースによると、「日東興業グループをはじめとするゴルフ場事業のスポンサーとしての実績を有する米国のゴールドマン・サックス・グループ(以下、GS)に支援をお願いし、ゴルフ場事業に専念しつつ、弊社グループ一体となって脆弱な財務体質の改善及び経営の合理化を図り、抜本的な再建を進めていく所存」としており、すでにGSをスポンサーとする方向性を事実上打ち出している。
GSでは、日東興業グループの各コースなど傘下のゴルフ場の運営業務を請け負う(株)アコーディア・ゴルフを立ち上げ、7月28日には業界関係者を招いての盛大なお披露目パーティも開催している。現在、そのGS傘下のコースは浜野GCを除く日東興業の29コースにレイクフォレストGC、石岡GC、それにスポンサー就任が内定しているスポーツ振興系の約30コースを含めると、現時点で約60コース。それに今回の緑営グループの20コースを含めると約80コースを傘下に収めることになる。
緑営側は「リリースに書いてあること以外のことは現時点ではコメントできない」とし、GSに支援を仰ぐということ以外はノーコメント。GS側も同様で「まず緑営グループの経営・財務内容を把握することが急務」(GS広報)という状態。
だが、民事再生申立て直前には、緑営グループ育ての親である吉崎満雄氏から、日東興業時代からの社長で現在もアコーディア・ゴルフのCOO(最高執行責任者)兼社長を務める鎌田隆介氏にグループ各社の代表も交代している。その上、緑営の取引先宛には、「緑営グループに於けるゴルフ場事業の再建を支援していくので、取引を弊社に切り替える要請があれば受ける」旨の書面がアコーディア・ゴルフから出ており、今後は緑営グループを含めた80コース全体で“アコーディア”ブランドを前面に押し出し事業展開を図る可能性は極めて高い。
ただ、「本当にすんなりGSのスポンサー就任が実現するかどうかは疑問」とする声も業界関係者からは出ている。というのも、GSは現段階で緑営グループの債権者ではないからだ。もともと同グループは、旧・埼玉銀行がメインバンクで、協和銀行との合併であさひ銀行へ、そして大和銀行との統合でりそな銀行にメインバンクが移り、りそな銀行は現在でも約500億円強の債権を持つ筆頭債権者だ。
3111億円の負債のうち、約4万5000人の会員から預かっている預託金は1673億円なので、残りの1438億円の大部分は金融機関からの借入ということになる。緑営グループは旧埼玉銀行以外では、旧日債銀からの借入(推定200億円程度)があり、日債銀の破綻とともに整理回収機構(RCC)に移管されている。
また、旧三井銀行(現・三井住友銀行)や、三井銀行系のノンバンクからの借入が、一時期は300億円近くあったが、これがその後どうなっているのかは、会社側がコメントを控えているためわからない。
GSといえば、ゴルフ場スポンサーの座の獲得を巡り、米投資ファンドのローンスターグループと熾烈な争奪戦を展開しており、ローンスターは、STT開発の11コース、地産の16コース、プレミアゴルフ系列などを傘下に収め、さらに現在、協議中とされる日本ゴルフ振興のスポンサー就任が決まれば70コース強を傘下に収めることになる。仮に今後、ローンスターが緑営グループのスポンサー就任を望み、RCCや金融機関の債権を買い集める動きに出れば、債権者としてスポンサーの決定に入札を求めたり、あるいはSTT開発の際とは逆に、法的手続きに打って出るようなことがないとは言えない。
「会員のプレー権は守る」(緑営グループ広報)とは言うが、外資同士のつばぜり合いのとばっちりで混乱を来たし、会員が不利益を被ることだけは避けてほしいものだが……。
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