週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。
つまりウッズが優勝争いにまったく加わらなかった今回の全米プロのアメリカにおけるTV視聴率が大幅に落ち込み、改めてウッズの人気が証明された格好となったのだ。ちなみに今年は、これで4大メジャーすべてを“メジャー初優勝者”が制覇するという珍しい年となったわけだが、そのせいか、すべてのメジャーで視聴率が前年比ダウンとなっている。 具体的な数字を挙げると、伏兵、S・マキールが勝った今回の全米プロ最終日(以下は放送翌日の速報視聴率、米主要55都市での集計で、全米の70パーセントをカバーするもの)は4.7パーセントで、前年比なんと41パーセントダウン。週末の2日間平均となると、若干落ち込みは減るが、それでも平均4.1パーセントで、前年比34パーセントダウン。 やはり無名のB・カーティスが勝った全英オープンの最終日の視聴率も、同じ4.7パーセントだが、こちらのほうはE・エルスが勝った昨年は4.9パーセントで、前年比4パーセントダウン。伏兵ではないが、とくに人気選手でもないJ・フューリックが勝った全米オープンの落ち込みも大きく、最終日は昨年の9.3パーセントから5.6パーセントへ40パーセントダウン。M・ウィアの勝ったマスターズは、土曜日の視聴率が6.2パーセント、日曜日が9.3パーセントで、昨年より6パーセントダウン(2日間平均)となっている。 たしかにこれまで「タイガーは勝って当たり前、優勝しても以前のようにはニュースバリューがなくなった」とか、「タイガーが独走して勝つ試合はつまらない。混戦のほうが見ていて面白い」なんていう意見も聞かれていたが、それらの多くはゴルフに詳しいファンの声のようで、ウッズにはゴルフのこともよく知らないファンも多数いて、彼が優勝争いに加われば、チャンネルを合わせるという視聴者が結構いるようなのだ。 実際、全米プロでは、昨年もメジャー初優勝のR・ビームが優勝しているが、このときは、最終的に2位となったウッズが、最終日2打差でビームをひとり追いかけるという展開で、優勝争いに加わっていた。新人の初優勝という意味では、今年と同じだが、ウッズが優勝争いに加わったかどうかがカギを握り、それが視聴率に表れたものと思われる。視聴率の落ち込みが激しかった全米オープンでも、昨年はウッズが優勝したが、今年は優勝圏外だった。 また、ディフェンディング・チャンピオンだったマスターズでも、ウッズは最終日の後半まで、まだ勝てるチャンスがあったし、全英でも優勝争いに加わっている。これからすると、ウッズが上位にくれば視聴率はアップするということのようだ。全英オープンでは、昨年より今年のほうが、ウッズには優勝のチャンスがあり、視聴率が下がるのはおかしいと思うかもしれないが、昨年はウッズの3日目の大叩きが話題になったし、最終日にウッズは猛チャージをかけている。それに優勝したのがエルスで、こちらもウッズほどではないにしろビッグネームであることには違いない。 もちろん、ウッズだけが視聴率に影響を与えているわけではない。今年のマスターズでは、女性メンバーの入会問題がありこれが視聴率を落としたという見方もあるし、全米プロの期間中に起こった大停電の影響も、視聴率の落ち込みに影響を与えているかもしれない。 ともあれ、当面心配なのは、今年の12月初旬に、その年のメジャー優勝者を集めてハワイで行われるグランドスラム選手権だろう。過去5年連続、ウッズが勝ち続けているこの試合。例年、視聴率もメジャーに匹敵する数字をとっていたが、今年はウッズに出場権がないばかりか、出場する4人が皆マイナーな選手でなんとも寂しい顔ぶれとなる。これで、この試合の視聴率が落ち込めば、ますますウッズ評価が高くなる?