週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。

　会社側から出席したのは、申立代理人の片山英二弁護士ら4人の弁護士と、申立て直前の8月1日に新経営陣として着任した鎌田隆介氏を始めアコーディア・ゴルフ（旧・日東興業系）からの派遣組3人、スポンサー就任を表明しているゴールドマン・サックス（以下、GS）の桐谷重毅氏、さらに、監督委員の三村藤明弁護士に監督委員の常置代理人弁護士3人の計11人。

　会社側からは、ここ数年の売上げや入場者数、それに給与の遅配、公共料金の滞納などがあって差し押さえを受ける可能性があることなど現在の経営状態、そして型通りの民事再生手続きの流れに関する説明のみ。「話があって1カ月で新経営陣の派遣を決めた」（桐谷氏）「着任間もないために過去のいきさつについては現経営陣は承知していない」（片山弁護士）として、倒産に至った経緯・経過については一切説明なし。

　肝心の吉崎満雄前代表も「出席を要請したが、高血圧で体調を崩し入院していることを理由に断られた」（片山弁護士）というが、これで会員が納得するはずもない。質疑応答では、いきなり「再生法を申請したのは、緑営グループ18社のうち9社だけ。他の9社はどうしたのか。（吉崎氏を）5日前に三島（CC）で見かけたのに、何が入院だ。会員から集めたカネで温泉を掘っていた温泉ネットワークという会社はどうしたのか」という厳しい質問が飛び出した。

　このほか「GSと吉崎氏の間にどんな取り決めがあったのか」「GSは吉崎氏からいくらで株を買い取ったのか」「申立書には通常、再建についてのアウトラインくらいは書くものだ」「決算書類をきちんとそろえて開示してほしい」などの質問や要望が相次いだ。

　しかし、いずれの質問にも「調査する」「決まっていない」「裁判所と相談する」などと回答、とくにGSとの関係については、何度も複数の会員が質問しながら、片山弁護士が一環して無視したため、会場の至る所から怒声、罵声が飛んだ。さらにこの声に押されるように片山弁護士がようやく出した「回答する必要がないと思う」という発言が、会員たちの怒りをますます増大させた。

　会員の不満の矛先は、監督委員の三村藤明弁護士にも向けられ、「GSとグルで我々を騙そうとしているのではないか」といった容赦ない質問まで飛び出したが、三村弁護士は「公正な手続きが進むよう注意深く見守る」と回答、決算書類の開示についても、片山弁護士にホームページの開設と、そこでの掲示を提案、その場の収拾を図る場面もあった。

　GSと吉崎氏の間に何らかの取り決めがあったのではとの点について、本誌の取材に対しGSは、株主でも、そして債権者でもないことを認めた上で、改めて「急遽スポンサー就任の依頼を受け、現在内容を精査しているところ」と強調した。

　つまり説明会当日の時点で、申立9社中8社に民事再生手続きの開始決定が下りてはいるが、今後、GSが最終的に把握した経営内容次第ではスポンサーを下りる可能性も否定できないというわけだ。また、民事再生手続きの上で、最も強い権限を握る債権者でもないとすると、「人口債権者のりそな銀行などの金融機関の意向次第では、改めて入札によるスポンサー決定ということになる可能性もある」（ゴルフ場問題に詳しい弁護士）。

　また、会員からの「吉崎氏の経営責任の追求を」という要望に対し、片山弁護士は「民事再生の手続き上で、損害賠償査定の請求をする」ことを約束したが、当の吉崎氏は緑営グループの民事再生申立と同日の8月4日、自己破産を申立て、8月13日に破産宣告が下りているので、道義的責任は追求できても、金銭的な補償を求めることは事実上不可能となっている。

　アコーディア・ゴルフでは、経営の最高責任者の竹生氏ではなく、鎌田氏を送り込んだ理由について、「日東興業での再建実務の経験を買ってのこと」と説明、スムーズに再建できる陣容を緑営に派遣したことをアピールしているが、このまますんなり「GSのスポンサー就任でスピード再建」というわけにはいかなさそうだ。