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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。 内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。 |
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週刊ゴルフダイジェスト 9/23号 |
2003年更新 |
今季棄権4回、56歳・ジャンボは大丈夫か
今週のサントリー、来週のANAが正念場
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最後の優勝である去年の全日空オープンから来週でちょうど1年だが、その後は未勝利のジャンボ尾崎(56)。今季は棄権も多く、賞金ランクもKBCオーガスタ終了時点で34位と「いよいよジャンボも……」という声もチラホラ聞かれるが、今後復活優勝の可能性はあるのだろうか。
今季のここまでのジャンボの不振について、ジャンボに精通するツアー記者の分析では「道具を実戦の中で調整していることと、アイアンのキレがも戻っていないこと。そして(以前と違って)ほぼフル参戦しており、年齢からくる背筋痛などの故障などが重なったため」と見ているが、やはり心配されるのは体力面の問題だ。
実際、ジャンボは今季これまで4試合で棄権しているが、理由は様々で、体のいろんな部分にひずみが出てきている証拠とも言える。一般人の56歳を考えば当然だろうが、超人的な体を持つジャンボもさすがに体力的な限界が迫ってきたのかという憶測も立つ。
自ら66歳で、いまだ現役にこだわる杉原輝雄はこう話す。
「56歳にもなれば体のあちこちに問題が出てくる。少々の痛みなら我慢して試合を続けるだろうが、尾崎君の場合は優勝を狙うという気持ちが強いから出場する試合数が多く疲労も溜まっているんだろう。また、勝ちたい気持ちが強い分、初日で思うようにプレーできないと、精神的な張りが緩んで体のほうの痛みが一気に出るのでは」
実際、杉原が指摘するように、棄権の4試合はすべて初日に大きく出遅れているジャンボだが、実弟の尾崎直道は「僕もそうだけど、年齢的なこともあるだろうが、初日は本能的に構えられないというかスッとプレーに入っていけない部分がある。それにクラブを試しながらとなればよけいに振り切れない。それが3日目、最終日になるにつれて、だんだんサビが取れるようにイメージ通りに体が動いてくるんだろう」と話す。
次に技術的な面だが、KBCオーガスタでジャンボを見ていた金井清一はこう分析した。
「ショットもパットも、悪いときは体が前に突っ込んでいたが、今はそれがなく、ヘッドが走っている。僕が見た限りでは、右手首を返さないでフォローを真っ直ぐ出していこうとするあまり、時として球がつかまらないこともあるようだ。シャフトが合っていなかったのでキックポイントを変えたものを今週(KBCオーガスタ)から使うと言っていたから、それが合ってくればショットの精度も上がってくるだろう。彼は洋芝を得意とするし、気候的にもANAオープンあたりは楽しみ」と技術的には上り調子と見ている。
そのクラブ調整だが、プロギアのツアー担当・小島一紀氏によると、ドライバーが『TRDUO』のロフト9度、アイアンが『910 TRX』と変わりはないが、ドライバーのシャフトに変化があるとのこと。
6月下旬のミズノオープンあたりから以前のものより10~15グラム軽くして総重量を330~328グラムに。シャフトの長さはシーズン始めが44.75インチで5月のマンシングで44.5インチに、さらにサン・クロレラで44.25インチと徐々に短くしている。
また、KBCからはシャフトのキックポイントを中調子から先調子のものに変えた。この変化について金井氏は「軽くて短く先調子のシャフトにしたのは、コンパクトにシャープに振っていきたいためだろう」とし、長めの中調子のシャフトでゆったり振る、シャフトの性能に頼ったスウィングではなく、今回のジャンボの選択は、自らのスウィングのキレでボールを飛ばす感覚が戻ってきた証拠と見る。
事実、KBCオーガスタの練習場でジャンボの打球を見ていた横田真一も「ここ2~3年のジャンボさんの打球の中では今が一番凄い」と証言する。
当のジャンボにKBCオーガスタ初日に、体調とクラブ調整について聞くと「夏の2週間はあまりクラブを振らず休養に充ててきたが、体調もショットも今イチだ。クラブの調整はいつものことだが、欲が強いということの現れだ。調整してみて、実戦で試してみてまた調整をするという繰り返しだ」とのこと。
実際、初日に調子が悪かったドライバーのシャフトを即日入れ替えている。
最終日に4アンダーを出し、7位タイに入ったジャンボからは「ドライバーショットが思った感じになっていないので、それを早く直していきたい。アイアンは概ねキレているし、まあ明るい兆しが見えてきた。最近は1ラウンドばかりだったから、久しぶりの4ラウンドで少しバテた(笑)」と、本人も秋のシーズンに向けて手応えをつかんだような発言も出た。
今週は、自宅のあるお膝元の千葉で開催(総武CC)のサントリーオープン、そして、この15年でなんと5回優勝している得意コース、札幌GC輪厚Cで開催のANAオープン、これからの2連戦がその試金石となる。
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