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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。

週刊ゴルフダイジェスト 9/30号
2003年更新
なぜか売れない、国内メーカーのパター
この秋、力を入れた大手2社が巻き返すか
 国内市場においてウッド、アイアンでは堅固なシェアを守る国内メーカーも、ことパターとなると旗色が悪い。海外ブランド独占状態のパター市場に、国内の大手2社がまったく異なる手法で、自信作を引っさげ、相継いで乗り込むことになった。

 国産クラブ愛用者も、パターだけは海外モノを使っている人は多いはず。実際、ブリヂストンとSRIスポーツ(ダンロップ)の大手2社に聞いても、クラブ全体に占めるパターの売上げはほんの数パーセントというから、推して知るべしである。

 国産パターにも、バブル期には高額の「軟鉄削り出し」のヒット商品や、「ヒロ・マツモト」「WOSS」などプロの間での人気から一般に普及した例もあった。だが、それも継続的な人気にはならなかった。

 国内メーカーがシェアを奪えない原因を、用品業界に詳しい片山哲郎氏は、「ピンパターの登場以降、革新的なパターは海外メーカーというイメージが定着する一方、国内メーカーは開発資源をもっぱらウッドとアイアンに集中させてきた結果でしょう」と分析する。

 こうした指摘に、メーカー側も納得する。

「確かにコストパフォーマンスを考えると、開発の重点は値段の高いクラブにいきます。プロ担当も、同じ時間をかけるなら、やはりドライバーとアイアンのシェア争いに熱心になり、パターまではケアできませんからね」と某メーカーの担当者。

 つまり、もともと力を入れていないのだから、売れないのも当然の結果ということか。

 ところが、今回、ダンロップととブリヂストンが相継いで、シェア争いに本腰を入れたパターを発売する。前者は今月12日から「ゼクシオパター」に新たに5タイプを加え、全9タイプのラインナップ(希望小売価格各2万円)を発表した。

「昨年秋に発売した『センター重心理論』のゼクシオパターが好評で、これまでにない手応えを感じましたので、ラインナップをさらに広げ、強力に売り出すことになりました」(広報・藤田英明氏)

 ヘッドのトゥ側とヒール側に比重の異なる金属を配分して、重心位置を正確にフェースの中央に設定したのがウリ。同社では「パターは、これまでブランド力のなさから試してもらえなかった。それをゼクシオのブランド力で、手に持ってもらい、販売につなげたい」としている。

 一方、ブリヂストンは新たに米国のパター設計家、ケビン・バーンズ氏と共同開発した「ツアーステージ by ケビン・バーンズ」という新ブランドを立ち上げた。現在、ツアープロに供給し、試してもらっている段階。横尾要や東聡らが使用しているようだが、パターの場合、プロでも気に入れば、シーズン中でもあっさり替える。プロに対する売込み如何では、ツアーで一気にシェアを広げる可能性がある。そうなれば、一般の注目度も上がるはずだ。その一般発売だが、「年内を目標に進めています」(広報部)

 片や一般に浸透したブランド力を背景に、片やデザイナーのブランド力とツアープロへの浸透力を背景に。果たして、どちらかが海外ブランドからより多くのシェアを奪い取るのだろう。それにしても、パター市場ではなぜこうも米メーカーが強いのか? 前出の片山氏は、ベンチャー企業に対する積極的な投資環境を挙げる。

「画期的なパターは基本的にパター専業メーカー、工房から生まれることが多い。アメリカ社会は、多くのファンドがそうしたベンチャーに積極的に投資し、支援する。そうして生まれたメーカーは、プロの多くがパター契約はしていないため、ツアー会場に出向き、自由に使用選手を増やせる環境にあったことも幸いしたのでしょう」

 また、キャロウェイ社のオデッセイやタイトリストのスコティ・キャメロンのように、人気ブランドはどれもドライバー・アイアンとは全く別の事業部だったり、子会社だったりと、クラブ部門からは独立して活動できる環境にあることも、強い開発力につながっていると見る。

 そして、日本でもこれからは、業界の閉塞感を避けるためにも、小さな工房からでも業界に参入できるこのパター分野に、新たな人材が登場することを期待したいと語る。その意味では、今回の両社を始めとする国産パターの逆襲にはエールを贈るべきなのだろう。

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