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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。 内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。 |
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週刊ゴルフダイジェスト 10/7号 |
2003年更新 |
複合ヘッド素材は主力ラインとして定着?
FWも登場、外国ブランドも着々と開発
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プロギアがカーボンとチタンの複合素材ヘッドドライバー、TRデュオを発売したのが今年1月。その後、ミズノ、ヨネックスが相次いで“複合ヘッド”市場に参入、じわじわとその領域を拡大してきた。すでにブリヂストンも10月末の複合ヘッドドライバー発売を発表済みで、さらに、コブラ、キャロウェイなど外国ブランドも来年発売に向けて、複合ヘッドを開発中だという。
この各社の動きを、ゴルフ用品業界に詳しい片山哲郎氏は、「複合ヘッドという、ひとつの大きなクラブカテゴリーが形成されつつあります。各社のラインアップがすべて複合ヘッドになる、とまでいくとは思いませんが、少なくともオールチタンのドライバーと並ぶ柱になることは間違いないでしょう。横浜ゴムが先鞭をつけた市場に、外国メーカーを含め、これだけ各社が追随している現状は、一時のブームで終わるとは考えられません」と見ている。
一気に複合ヘッド化の波が押し寄せる兆しだが、今秋、注目されるのが、ブリヂストンの「ツアーステージ・シナジー」だ。ヘッドのボディをフルカーボンにしたのが最大の特徴で、チタンフェースがその口を覆うように接着されている。ソールにはステンレスプレートとタングステンウェートが装着され、全部で4ピース構造となるが、あえて今主流のディープフェースを避け、シャローフェースで徹底した低重心化を図っている。
「当社独自のスウィング解析データから、ディープフェースのドライバーでは、アマチュアの打点がフェース下部に集まり、高反発の効果が得られにくいことがわかりました。そこで、フェース高をシャローにすることで、アベレージゴルファーの打点がスウィートスポットに集まるように設計しました」(ブリヂストンスポーツ・広報)。
市場参入時期から言えば後発となるだけに、先行の3社とは明らかに一線を画す設計コンセプトで「複合ヘッド第二世代」を狙う。
これに対し、先行組のヨネックスはカーボンとチタンの複合ヘッド、サイバースター・パワーブリッドのフェアウェイウッドを9月下旬に発売。ヘッド構造は同モデルドライバーの構造が踏襲され、ヘッドのクラウン部から背面にかけてカーボン素材が使われるが、「FWはドライバーよりヘッド体積が小さく、“たわみ”の効果が得られにくいので、表面積に対するカーボン素材の比率を上げて、一層の軽量化と低重心化を図っている」(ヨネックス・広報)と言う。
フェアウェイウッドは、ドライバーと違い、飛距離面だけを重視とはいかないが、機能面でも「構造上バックスピン量は抑制されますが、低重心でより打出し角の高い球が打てるので、グリーン上でも止まります。さらにフェースを薄肉化して反発を高め、当社比で6ヤードほど飛距離も伸びてます」(同社広報)。
複合素材を用いたフェアウェイウッドの登場はこれが初めてで、カーボン素材の加工ノウハウでは一日の長があるヨネックスが、この分野では他社に一歩先んじる格好となった。
さらに気になるのは、コブラから来春発売される複合ヘッドドライバー“コブラCT(カーボントップの略)”だ。来年3月に発売予定ということ以外、詳細は未定ということだが、「おそらく4万5000円~4万8000円前後で市場に出る」(アクシネットジャパン・広報)ということで、ヒットすれば現在7万円~8万円台の複合ヘッドドライバーの価格帯を一気に引き下げることになるかもしれない。
いずれにしろ、競争が激化するのは年明け以降となりそうだが、この分野での成功のカギは「集中力」だと、前出の片山氏は語る。
「プロギアはオールチタンの旧ラインナップを捨て、複合ヘッドに絞った販売戦略で成功しましたし、ヨネックスもオールチタンの主力モデルであるサイバースター5000の販売目標を下方修正してまでパワーブリッドに集中する動きを見せています。ミズノはインテージとは別に、米国ですでに発表済みのMP001というカーボン複合ヘッドモデルを投入予定で、複合ヘッドを集中的に展開する態勢を整えています。
各社のブランドイメージや流通経路、ユーザー側から見たテイスト感など、それぞれの体質に合わせた展開が必要だと思いますが、バリエーションの一環といった位置付けでは、ユーザーへのアピールが不十分になることも考えられます」(片山氏)。
「二兎を追うもの一兎をも得ず」と言うが、オールチタンに見切りをつけて複合ヘッドに走るのか、それとも別個のマーケットととらえて棲み分けをはかるのか? メーカーにとっては今後難しい決断となりそうだ。
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