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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。

週刊ゴルフダイジェスト 10/14号
2003年更新
日本の「マックテック」は順調なのになぜ?
サントリーがマグレガー株を米社に売却
 マックテックの売上げが好調なマグレガージャパンは、サントリーが株式の75パーセントを保有していたが、9月末を目処に全株式をアメリカのマグレガーゴルフに譲渡することになった。「マグレガー」といえば、100年以上の歴史を誇る名門ブランド。今回の株式譲渡は、その名門の歴史の大きな転換点でもあった。

「マグレガー」ブランドの創業は、19世紀末の1897年のこと。当時、クラブはプロゴルファーが自らの工房で製造し、販売するのが一般的だった。ところが、同社はいち早く専門の職人が設計データを基に作製する近代的なメーカーとして創業。完成度の高さで、すぐに評判となった。そして、アメリカでゴルフブームが興った1910年代からは、パーシモンヘッドのインサートを始めスチールシャフトやラバーグリップといった、革新的な技術やアイデアを次々と開発、高級クラブのトップブランドとしての地位を揺ぎないものとした。

 なかでも「トミー・アーマー」「ターニー」といったモデルはプロ・上級者用のクラブとして全世界に広まり、初・中級者にはある種、憧れのクラブとなった。また、ジャック・ニクラスとのコラボレーションはつとに有名。ニクラウスは、61年のプロ入りと同時にマグレガーのアドバイザリースタッフとなり、その後、彼の名を冠したモデルを次々と発表した。その後、彼は同社の株式を取得、長い間、オーナーのひとりとしても活躍した。

 そのマグレガー社が全額出資子会社の「マグレガージャパン」を日本に設立したのが79年。84年には、サントリーがその75パーセントの株式を取得し、経営に参画。併せて日本と韓国での同ブランドの販売権を米社から譲り受けた。業界関係者は「同社が出資することになったのは、鳥井道夫(現サントリー名誉会長、マグレガージャパン会長)さんがゴルフ事業に関心があったのに加え、ニクラスと個人的に親しかったからだと言われています」と当時の背景を語る。

 ところが、その後は上級者モデルというイメージが足かせとなってか、マグレガーの売上げは日米で低迷。その状況を払拭したのが、マグレガージャパンが92年に独自開発した「マックテック」だった。

「その宣伝には、極力マグレガーの名を出さないようにしてきました」(宣伝担当者)という、いわば“マグレガー隠し”のイメージ戦略が功を奏したのか、「今年度の売上げは前年度を20パーセント近く上回る45億円を見込んでいますが、そのほとんどがマックテックの売上げ」と業績は好調に推移。実はこの45億円という売上げは、約33億円という米社を既に上回っている。

 その優良子会社を、なぜ今、米社に手放すのだろうか?「日米双方のマグレガーにとって、最良の道と判断した結果です」(サントリー広報部)

 同社の説明によれば、今後マグレガーは、現状では基本的に日本と韓国でしか販売できない人気ブランド、マックテックを世界市場に送り出すこと。また、日本の田中誠社長(サントリーからの出向。譲渡後も同職に出向の予定)を中心とする開発力とターニーで培ってきた米社の上級者モデルに関する豊富なデータやマーケティング力を統合すること。つまり、現在別々に開発・販売されているマックテックとターニーの両ブランドを、米社が一元的に扱うのが一番という判断からの譲渡のようだ。併せて、米社ではパターメーカーのボビー・グレイスも買収。総合メーカーとして、世界市場に打って出る構えだ。

「マックテックは05年には全世界で販売する計画です。来年、日本の開発陣はアメリカのスタッフと合流すると思います」とマグレガージャパン。せっかく“日本発”の人気ブランドが育ったのにもったいないという気もするが、売上げ額では、米社の低迷を救うことになる日本の開発陣の活躍を見守りたい。

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