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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。

週刊ゴルフダイジェスト 10/21号
2003年更新
宮里藍優勝で女子ツアー界が沸き返るなか
アマチュアに敗れたプロたちの反応は……
 人気低迷が危惧されている女子プロゴルフ界に救世主が現れた。ミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープンで鮮やかに優勝をさらった、アマチュア・宮里藍。優勝翌日のスポーツ紙では、その笑顔が1面や最終面を飾り、その日からゴルフ界全体が一気に華やいだ感じすらある。30年ぶりのアマチュア選手による女子プロツアー競技制覇、27年ぶりに塗り替えられた最年少優勝……しかし、その後のトーナメント会場では、こんな会話が飛び交っていた------。

「素直におめでとう、と言えるとは思うけど……やっぱり複雑ですよ、そりゃあ。プロとしては」。

 ミヤギテレビ杯の表彰式終了後、そう話していたのは、宮里と同じ1打差2位から最終日をスタートして6位タイに終わった西塚美希世。同じ大会に出場していたプロ選手のほとんどは、プロとして忸怩たる思いを噛みしめていたのだ。

 ツアーの人気回復を切望する樋口久子LPGA会長は、「いやホント、素晴らしいと思います。彼女はアマチュアでも十分プロの力がある。勝負はそのときに強い人が勝つのだから(プロが負けたことは問題でない)。技術はもちろん、態度もすがすがしいし、スターになる要素を持った選手」と絶賛。

「『おめでとうございます。早くプロになってらっしゃい』と声をかけました」と喜色満面だったが、同じように手放しで喜んでいたのはごく少数のプロのみ。大多数は、「プロの威厳をかけて、誰かが彼女を止めなければいけなかった」と悔しがっていた。

 実際、翌週の日本女子オープン会場では、どこへ行ってもその話で持ちきり。練習ラウンドから大勢の報道陣に取り囲まれる宮里の姿を横目に、女子プロたちはいつになく肩身の狭い思いをしていたに違いない。

 宮里優勝の週、ツアーを休んでいた女王・不動は「別に驚くようなことではないし、よかったねぇ、って感じですかね。私が出場してても同じ結果になったと思いますよ。まあ、宮里さんがとくによかった、というわけじゃなく、他のプロ選手たちの調子が悪かった、というのがテレビを見ての私の感想です。とにかくアマ、プロと分けて考えるのではなく、優勝者を讃えるってことでいいんじゃないでしょうか」と話したが、コウ・ウスンは「先週アマチュアに負けて元気がないです。月曜はあっちこっちから電話がかかってきて『アマに負けちゃいけないでしょ』と言われました。やっぱり私たちはプロとして宮里選手に負けてはいけなかった」と自らを恥じた。

 当の宮里の話を聞けば、「ほとんどのプロは『おめでとう』『すごいね、やったね』という声をかけてくれました。ク・オッキさんとキム・エースクさんだけには『ダメじゃん、勝ったら』って言われましたけど。もちろんその後に『おめでとう!』って握手してくれましたけど」という反応だったとか。

 ミヤギテレビ杯では最終日にスコアを落とし25位タイに終わった藤井かすみが、いみじくも語った。

「プロ全員がかかって、だらしない、というはあるけど……ゴルフ界にとっては最高の出来事だったんじゃないでしょうか。私も可能性のある位置からまったく追い上げられずに負けたわけだし、悔しいのは悔しい。でも業界的に、いいことだったとは思っています」。

 まだ高校3年生で、今後の身の振り方が気になる“藍ちゃん”。どんな進路を選択するにせよ、当分は藤井の言葉よろしく、国内女子ゴルフ界の話題を独占しそうだ。

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