週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。
今季の深堀は日本オープンの前週までの22試合にフル出場して、途中棄権が3回あったが予選落ちはゼロ。それだけ見れば、まずまずの成績だったように思えるが、今季の最高成績は日本ゴルフツアー選手権とウッドワンオープン広島の2試合での10位タイと、決して好調とは言えないシーズンを送っていた。 一昨年の住建産業オープン広島でジャンボ尾崎の猛追をかわして同大会2連覇を果たし、ひと皮剥けた深堀をアピールしたが、昨年5月、ダイヤモンドカップ2日目に左肋骨の剥離骨折で棄権、8月まで欠場を余儀なくされるアクシデントに見舞われた。以来、手首痛や原因不明のめまい、立ちくらみに悩まされるなど、体調面での不安を抱えていた。 「昨年の日本オープンのときにバンカーの中で凄い立ちくらみがして、危うく砂に手をつきそうになってしまいました。次の週のブリヂストンオープンでも同じ症状が出て、精密検査をしたんですが、問題はないと言われました。あまりにもストレスがかかりすぎていたのが原因だったようです。それと、首の筋肉が硬直しすぎて、一瞬、血流が脳に行かないのが立ちくらみだから、首のケアをするようにとも言われました。ストレスがかからないように、3勤1休ぐらいのペースにしたほうがいいとアドバイスされたんですけど、休める状況ではなかった」と深堀は振り返る。 今年の前半もめまいと立ちくらみに悩まされていた深堀だが、それに加え、「プロ人生で最悪」(深堀)というパットの不調が追い討ちをかけた。 「パターマットのときでさえ手が動かないぐらい。パッティングの病というより“複雑骨折”という感じでした」 かつて日本ジュニアのタイトルを取り、将来を嘱望されていた深堀は、大学時代にナショナルチームに入ったころから“スウィングのイップス”に陥った経験がある。 「20歳ぐらいから、プロテストに受かった後の24歳ぐらいまで、スウィングが恐くて手が動かなかったんです。でも、球が曲がってもいいから、とにかく振り切れば、そのうちまっすく行くだろうとやっているうちに治ったんですけど、パットは距離感もあるから、それをどうやってアジャストするかが課題でした。今季は7月ぐらいまでにシードを確定して、後半は結果を気にせずパットのフィーリングが戻るように試合の中で試そうと思っていました。夏以降は徐々に良くなってきましたね」そのパットの重病を救ったのは、前週の東海クラシックから使い始めた重めのベティナルディ・パターだったという。 「重いパターに換えて、今まで使っていないフィーリングが使えるようになったということでしょうね」と言う深堀。 ベティナルディのツアー担当者の宮原圭史氏(クルーズ)によると、「深堀プロのエースパターはスコッティキャメロン・クラシック1ですが、樹脂系のインサートではなく、軟鉄にこだわりがあるんですね。日本オープンで使った重め(総重量550グラム)のベティナルディ360Mは去年の今ごろお渡ししました。クラブを換えるのには慎重な人ですから、丸山茂樹プロと同じタイプのものとか、中尺とか、いろいろ試行錯誤していたようです」 日本オープンの優勝で5年のシードを獲得、念願の米ツアー挑戦も視野に入って来た。 「(国内の)メジャーを獲れたら米ツアーに挑戦しようというのは、ずっと考えていた」と言う深堀。 奇しくも同じ週に盟友の丸山茂樹が米ツアー3勝目を挙げた。お互いに電話やメールで励まし合ってきたという2人。近い将来、米ツアーで2人の優勝争いが見られることを期待しよう。