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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。

週刊ゴルフダイジェスト 11/11号
2003年更新
丸山が米ツアー3勝目! 陰で支え続けた
専属キャディが語る優勝までの険しい道程
 丸山茂樹がクライスラークラシック・オブ・グリーンズボロで米ツアー3勝目を挙げた。が、昨年から丸山のキャディを務めている杉澤伸章さん(28歳)にとっては、今回が“米ツアー参戦2年目にして初優勝”。丸山にもっとも近い存在であり、陰で支えてきた杉澤さんが見た丸山の素顔、そして喜びの声を本人に語ってもらった。

 今年は春先から苦しかったのですが、丸山プロには「我慢すればいいことありますよ」って言い続けてました。一喜一憂していたら辛いだけだから、ミスしたら「しょーがないですよ」って励ましてきました。

 丸山プロの辛さはよくわかっていたんですけど、僕まで一緒に悲しんでいたら、どんどん悪いほうへ行ってしまう。だから、僕はなるべくノー天気な感じでいるようにしていました。とはいっても、ノー天気な感じでいながら、必死にいろいろなことに目を配ってはいました。ラウンド後、首や肩にアイシングをしたり、とにかく「首痛に効く」と言われるものは全部試しました。

 丸山プロは、ちょっと前まで、今季は(来季のシードが獲れる)賞金ランク125位以内に入ることを目標にしていましたが、僕から見ても、それが限界に思えました。もう、見てて苦しそうでしたから。

 そんなところへ、(9月の)ペンシルバニアのとき、内藤(雄士)コーチが来て、スウィングチェンジして調整して。あのとき、イケそうだという感触を持ちました。ずっと何をやってもダメという雰囲気だったけど、あのスウィングチェンジで新しいことに挑戦する楽しみができ、いい意味での“開き直り”ができたと思います。

 実は、僕、丸山プロの2勝目(昨年のバイロンネルソン)のときはバッグを担いでいなかったので、今回が僕にとっては、ずっと憧れていた“初優勝”だったんです。でも丸山プロは必ず勝つ人だから、僕がクビにならない限りは、きっと優勝の瞬間に居合わせることができるって信じていました。それに、丸山プロの調子がいいときは誰がバッグを担いでも調子いいけど、僕は“丸山プロが苦しいときに一緒にいたキャディ”になりたかった。だから、勝ったとき、素直にうれしかったです。

 今年、キャディとして一番辛かったのは、丸山プロが試合の週の水曜日までは絶好調なのに、木曜に試合が始まると球が曲がり出していたことです。そうすると、どうしても静かになっちゃって、どうにか明るいフリをしたりしたけど……。去年、僕が丸山プロのキャディを始めたときも、しばらく丸山プロの調子が悪かったので、「もしかして自分は下げチン?」っていうプレッシャーがあった(笑)。

 逆にうれしかったのは、このところ、やっと米ツアーの他のキャディたちが声をかけてくれるようになったこと。最初は知らんぷりだったけど、最近は“シゲキのキャディのスギ”って存在が少しだけ定着したのかなって感じられます。彼らも僕がバッグを担いで丸山プロが優勝したのは初めてだって知っていて、多くのキャディがおめでとうって言ってくれました。

 今回の優勝で賞金ランクも世界ランクも35位に上がり、ツアチャン(最終戦で、賞金ランク30位以内の選手のみが出場できるツアー選手権)も来年のマスターズも見えてきました。

「まずはツアチャン出場を目指そう」って丸山プロと話してます。優勝の喜びは日本に帰ってビデオを見たりしてから実感できるでしょうし、それにすぐ次の試合が待ってますから。

 来季は(前年度優勝者のみが出場できる)メルセデス選手権からスタートになります。普通には出られない特別な試合に出場できるのは、僕としてもうれしいことです。幸せです。クビにならない限り、僕はずっと丸山プロのバッグを担ぎ続けたいと思っています。(談)

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