週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。
その全6試合中、高橋勝成は3試合で優勝。年間獲得賞金は約3540万円で、シニアツアーの賞金総額2億6000万円の14パーセントをひとりで獲得したことになる。シニアツアーの賞金シードは30位までだが、高橋の寡占状態によりシード当落賞金額は、30位の萩原安造で約224万円に。シニアツアーの窮状を象徴するような金額ともいえる。 今回、初のシードを手にしたのは、本誌連載でおなじみの古市忠夫(63歳)、吉村金八(51歳)、今年シニア入りした藤池昇龍(50歳)、金山和雄(50歳)の面々だ。 一方、シード落ちを喫したのは、安田春雄(60歳)、石井裕士(62歳)など昭和10年代生まれのベテラン勢が目立ったが、98年の日本プロシニア優勝の資格で今年まで特別シードを持っていた金井清一(63歳)は、昨年の56位から26位へとランクを上げ、賞金シードを復活。健在ぶりをアピールした。 高橋勝成は、開幕戦のキャッスルヒルで4位タイ、2戦目のアデランスウェルネスで12位タイと当初は出遅れの感があったが、第3戦、国内シニア最高優勝賞金額(1500万円)のファンケルで同大会3年連続優勝を果たし、4年連続賞金王への足がかりとした。高橋と最後まで賞金王の座を争ったのは、アデランスでプロ初優勝を果たした三好隆(52歳)。三好はファンケルでも2位となり、その時点で通算1900万円余りを稼ぎ、高橋に190万円の差をつけ賞金レースのトップに立っていた。しかし、4戦目の日本プロシニアで2位となった高橋に対し、三好は8位タイで8万円の差で逆転。5戦目のビックライザックで高橋が優勝、同大会で下位に低迷した三好との差を500万円近く引き離した。 最終戦の日本シニアオープンの優勝賞金は1000万円。三好にとっては再逆転のラストチャンスだったが予選落ち。高橋の4年連続賞金王が、最終日を待たずに確定した。その高橋に喜びの声を聞いた。 ------3打差逆転でしたが。 「バーディが獲れなくて苦しいゴルフだったけど、よく耐えられたと思う。自分が逆転したことは、ホールアウトしてもわからなかった。他のプロに『おめでとう』と言われても、何のことだかわからず、スコアボードを見ると、自分が上になっていて、間違いじゃないのかと思った。まさか中村さんがスコアを落としているとは……」 ------17番のバーディでは派手なガッツポーズ。 「ガッツポーズをした覚えがない。5メートルを下だけを向いて顔を上げずに打った。しばらくしてボールを見ると1メートル半ぐらいのところを真っ直ぐカップへ向かって転がっていた。ああいう感覚はこれまでにもなかった。もう一度レギュラーツアー行ってもやれるんじゃないかと錯覚してしまうほどだった(笑)」 ------地元での優勝ですね。 「宝塚GCは自宅から車で10分。家族が見に来てくれた中で最高の成績、いい記念になった」 ------2人の息子さんの応援も力になったと。 「長男は僕のゴルフを見るのが好きらしく、ときどき応援してくれる。(退院直後の)次男は3年前のファンケル以来の観戦。お父さんも一緒に頑張っているんだという姿を見せたかった。子供の顔を見ると自然と力がわいてきた。自分がゴルフをやることで、家族が元気になってくれるのが一番」 ------米と欧州の両シニアツアーの最終予選挑戦への抱負を。 「渡米は11月13か14日。米国の最終予選が終わり次第、そのままヨーロッパへ入る。最終予選は狭き門だが、日本でこういう立場(4年連続賞金王)にいるということを自覚して闘うつもり。情けない予選会だけはしたくない。飯合やジェットも来るみたいだし、おもしろくなる。もし通ってもベースは日本に置くつもり。何試合か選んでアメリカへ行く。4回目のテストで今年が一番体の動きがいい。昨年3月から禁酒しているのがいいのかも。昨年は16位だったけど、今年はいい成績が出せると自分自身期待している