週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。
同賞は1953年に米LPGAで創設され、年間の平均ストローク数で首位になった選手に与えられる栄誉ある賞だ。 今年のアニカの平均ストローク数は69.19でトップ。70.00で2位のパク・セリに0.81もの差をつけている(10月23日現在)。95年、96年、98年にベアトロフィを受賞したアニカは、その後も01年、02年とここ2年連続で受賞している。しかし、今年はアニカにその資格がない。ベアトロフィを受賞するには年間最低70ラウンドを消化しなければならないという規定があり、今年のラウンド数が現在53で、残り3試合に出場予定だが、そのラウンド数を加えても、やはり規定ラウンド数には届かず、2位の選手の手に渡ることになるというわけだ。 これを知ったアニカは、「私がどれほど怒っているか、とても言葉では伝えられない。私は2位に1ストローク近い差をつけてトップに立っている。今年、十分な成績を残したのに、自分にとって大きな意味を持つこの賞がもらえないなんて……」と、その怒りは心頭に達している様子。アニカは自ら米LPGA会長のT・ボトウ氏に交渉したそうだが、「ルールはルール」とし、会長は突っぱねたそうだ。 ちなみに、男子ツアーでこの賞に相当するのはバードントロフィ。PGAツアーでもこれを受賞するために必要な最低ラウンド数が規定されているが、LPGAより10も少ない60ラウンドとされている。さらに、LPGAは試合数も少ない上、3日間競技も多いため、年間70ラウンドをこなすためには、男子選手よりかなり多くの試合に出場しなければならない。 さて、会長は突っぱねたとはいえ、LPGA側は今回の事態について、LPGAメディア担当ディレクターのコニー・ウイルソンに話を聞いた。 「最低70ラウンドの規定は1972年に作られたもので、それ以来、今回と同じようなケースが過去6回ありました。たとえばあのナンシー・ロペスも86年と93年にラウンド数不足でベアトロフィを逃しているし、日本の岡本綾子も88年に首位(70.94)に立ちながら64ラウンドだったので、2位のベッツィ・キング(70.85)にトロフィを奪われています。今回も、そして今後もLPGAはこのルールを見直すつもりはありません」 ちなみに、6つの前例の中にはこんなケースもあった。96年、平均ストローク数70.32でトップだったローラ・デービーズのラウンド数が68でベアトロフィをもらいそこね、そのとき代わりにベアトロフィをもらったのが、75ラウンドで2位だったアニカ(70.47)だったのである。アニカ自身が過去にこの規定の恩恵を受けたという経緯もあるのだから、やはり今回の彼女の抗議はLPGAに受け入れられなくても仕方ない。いくら女王アニカでも、こればっかりは意のままにできそうもない。