週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。
同社では、本業のゴルフ用品売買に集中するため、3年ほど前から2コースの売却を進めていた。今回譲渡が決まった阿蘇高森GCの譲渡資産は土地、建物などで5億9100万円。売上げは2億3000万円と苦戦を強いられていた。会員は約260名だが、現会員からの預託金債務は譲渡せず、今後も本間が返還請求に応じるという。 その譲渡先に選ばれたのは、日本でゴルフ場事業を展開するために設立された韓国系の「HONMA佑成」(柳永烈代表取締役)。同社は、本間ゴルフとの間に資本関係はないが、社長の柳氏は韓国における本間ゴルフの独占販売代理店である「ホンマゴルフ・ワンド」社の代表である。 韓国での本間ゴルフの人気はよく知られたところ。「正式な調査ではありませんが、韓国業界関係者の話では、昨年の韓国における輸入クラブ量は、1位がテーラーメイドで2位が当社、3位がキャロウェイだったそうです」(同社広報担当)と言うが、その本間ブランドの人気を構築してきたのが、30年以上にわたり代理店を務めてきた柳社長なのだそうだ。 ところで、その柳氏が今回九州でのゴルフ場経営に踏み切ったのは、何も友好関係にある本間ゴルフの求めに応じたからではなく、背景には、韓国国内でのゴルフ場不足と、そのために交流を急速に深めている九州のゴルフ場の人気があるようだ。 「韓国国内では現在20ほどのゴルフ場が建設中ですが、それでも200コースには届かないでしょう。今のゴルフ人気では、200コースあっても足りません」(米ゴルフダイジェスト・韓国版の日本代表・黄鐘吉氏) そこで、アシアナ航空などでは九州のゴルフ場と提携、ゴルフツアーを企画すると、これが人気を呼んだ。今回の買収も、その九州人気を睨んでのもので、今後韓国からツアー客を積極的に呼び込むことが予想される。 もうひとつの背景も最初の理由と重なるのだが、「実は、ソウルを始め大都市近郊ではすでにゴルフ場造成が規制されており、今後の建設には莫大な経費と許認可取得の手間がかかるんです。ホンマゴルフの譲渡価格はわかりませんが、おそらく韓国国内で建設するより、コストと手間を考えると、安かったのでは」(前出・黄氏) バブル期には、建設コストが世界一高かった日本のゴルフ場だが、今やその座は韓国に譲ったのだろうか。いずれにしろ、またひとつ、今度は米国以外の外資系ゴルフ場が増えることになった。