週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。
相沢前議員といえば、一般には自民党の長老で、政府与党の執行部も黙らす金融・財政の専門家にして党税調のドン、そして夫人が女優の司葉子ということで知られている。しかし、ゴルフ界にとっては自民党国会議員による「ゴルフ振興議員連盟」(議連)の会長として、ゴルフの普及・振興にかかわる政策決定や予算獲得、税制改正の中心的存在だった。自身、ゴルフ歴40年(最高ハンディ10)でもあり、ゴルフ場利用税の撤廃を“マニフェスト”にも掲げるなど、ゴルフ界に対する政界きっての支援・理解者でもあった。 今年4月から満70歳以上の免除などゴルフ 場利用税の一部税制が改正されたが、そこでも相沢氏のリーダーシップが大いに発揮されたと、日本ゴルフ協会(JGA)関係者は語る。「議連には利用税の完全撤廃を主張する文教族や商工族の議員さんだけでなく、反対する総務部会の議員さんも参加され、地方財政の厳しい折に利用税の減免には絶対反対を主張されるんです。それに対して相沢先生が、税減収は地方交付税でカバーされる仕組みであることをビシッと説くと、反対派が黙ってしまうということがありました」 そんな相沢氏だが、党税調の会長という、ゴルフ界のみならず様々な議連や部会からの要望を受ける立場でもあった。そこでゴルフ議連の希望にすべて応える“お手盛り”はできない。「利用税撤廃に向けて筋を通しながらも、現実的なとりまとめをする。そのひとつの成果が今年の利用税の一部免除でした」(前出JGA関係者) そのリーダーの落選は当然、関係者の間で惜しまれている。「ゴルフの良き理解者で、その振興に積極的に取り組んで頂いた方なので残念です。利用税撤廃に向け、これからが本番という時期だけになおさらです」(JGA大森孝・専務理事) 今年は署名運動こそなかったが、政府・自民党に対するロビー活動は継続されている。先月もJGA理事などが自民党のヒアリングに出席し、要望を提出している。もっとも今年は、総選挙直後で議連も部会も何も決まっていない。今後の利用税撤廃運動の行方も心配される。 そこで、今回、相対立した2大政党に、ゴルフ場利用税に対するスタンスを質問してみた。まず、与党の座を守った自民党は「通常だと、利用税撤廃を推進する文教部会、経済産業部会と、反対する総務部会からの要望が、党税制調査会に上がって審議され、その結果を受け、12月中に方針が決まりますが、今年は選挙直後でまだどうなるか分かりません」(自民党税調事務局)と、来年度の税制改正に盛り込まれる可能性は薄そうだ。 一方、野党として大躍進を遂げた民主党だが、「ある意味偏った形の税であることは認識していますが、一部自治体にとっては重要な財源になっており、地方分権をすすめる今の時期に、その撤廃は考えておりません」(党政策調査会)との答えで、野党からの働きかけも当分期待できそうにない。 「相沢先生はゴルフ議連のいわば理論的支柱で、先生にとって代わる理解者、実力者は正直見当たりません」(前出JGA関係者) センセー方の間には、ゴルフ好きがあれほど多いのに……。ゴルフ振興にひと肌脱いでくれる実行力のある議員さんの登場を、1200万人のゴルファーを代表して呼びかけたい。