週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。
試合数はワールドカップ、ライダーカップの賞金ランク対象外の2試合を含めると、公式試合は昨年同様50試合。 「この結果に非常に満足している。過去数年続いている厳しい経済環境の中、多くの企業が我々のツアーに投資してきてくれた」と米ツアーのコミッショナーのT・フィンチェム氏は、あくまで強気の発言を繰り返すが、現実には、昨年と同じ試合数とはいえ、まだラスベガス招待のスポンサーが決まっていないため、10月第2週は未定になっており、最悪の場合、1試合減の可能性もないではない。スポンサー探しといえば、WGC-ワールドカップも、まだスポンサーが決まっていない。 今回、日程発表が遅れたことに関しては「これまでもとくに発表する時期が決まっていたわけではない。スポンサーなどとの交渉が終わり、出揃ったところで、例年発表していたにすぎない」とは、米ツアー広報のV・ディゲンティ女史。しかも、発表されたと言っても、賞金総額やテレビの放映局はまだ公表されておらず、調整に手間取っていることがうかがえる。もちろん、こうした状況は、アメリカのこれまでの不況を反映するものだが、もうひとつ、別の要素もあるとの見方もある。 それは「米ツアーの中に、もうひとつ“タイガーツアー”ができてしまった」(米ツアー業界関係者)こと。つまり、T・ウッズの出る試合が、毎年ほぼ確定してしまったからだ。タイガーが優勝に絡まなかった今年のメジャーの視聴率が軒並みダウンしたことは以前にも紹介したが、タイガーが出ない試合は、TV視聴率も伸び悩むというのが今や常識。 実際、タイガーが出る試合は、ビッグイベントであるメジャー4試合、WGCの3試合、ザ・プレーヤーズ選手権、ツアー選手権に加え、自らスポンサー契約しているビュイック関連の3試合、同じく契約のドイツ銀行、ウォルトディズニーを合わせると、それだけで14試合。その他は出ても、伝統あるウエスタンオープン、開幕戦で前年優勝者だけが出場できるメルセデス選手権、生まれ育ったロサンゼルスで開催のニッサンオープン、自宅から近くA・パーマー主催のベイヒル招待、J・二クラス主催のメモリアルくらいで、自然と決まってしまう。 ツアー全体としては、タイガー効果で視聴率が上がり、賞金総額も大幅に伸びた。しかし、逆にタイガーに“見放された”試合のスポンサーからは、賞金もスポンサー料金も高額になりすぎた反動が出始めたという見方もある。 世界最強の米ツアー。その内容や迫力は、他ツアーの追従を許さないし、来年の試合展開がどうなるのか楽しみだが、その経済環境には、フィンチェム・コミショナーが言うほどには、楽観視できないようだ。