週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。
米ツアーの場合、ファイナルQスクールから出場できる条件は、今年は9月12日時点で日本の賞金ランク・ベスト10に入っている中から希望する者の上位3名であるのに対し、欧州ツアーでは、9月5日の段階で賞金ランク30位以内で希望する者の上位3名となっている。しかし、人気のある米ツアーは3人の枠が一杯になり、辞退者が出るのを待つ選手もいるほどだが、欧州の場合は、例年希望者がほとんどなく、今年このカテゴリーで名乗りを挙げたのは、佐藤ひとりだけだった。 欧州ツアーのファイナルQスクールを突破して出場権を獲得した日本人選手は、過去、海老原清治などのシニアツアーは別にして、レギュラーツアーでは、96年の友利勝良以来の快挙。ちなみに、すし石垣も受験していたが、第2ステージで落ち、最終には進めなかった。 日本のファイナルQTや米ツアーのファイナルQスクールと同様、欧州ツアーもファイナルは2コースを交互に2日づつ4ラウンドプレーする予選があり、残り2日間の決勝ラウンドには168人中、80位タイまでの選手が進出できる。佐藤は初日、65をマークして2位タイの好発進。2日目、9位タイに後退、さらに4日目を終えた段階では13位タイと順位を下げたものの、余裕で決勝ラウンド進出を果たした。そして、決勝2ラウンドで佐藤は67・67と手堅くスコアをまとめ、6日間通算で22アンダーとして5位タイ、合格して出場権を得た35人中、出場優先順位では7番目となった。 住友VISA太平洋を休んで同Qスクールに挑戦していた佐藤は、ダンロップフェニックスに姿を現すと、さっそく欧州ツアーの先輩、友利勝良を捉まえて同ツアーの事情を取材。「ロンドンを拠点に動けば、むしろ日本のツアーより移動は苦労しない」とか「イギリス在住の日本人に連絡しておけば、練習環境も確保できる」など貴重なアドバイスを受けていた。その佐藤信人にインタビューした。 ------そもそも欧州ツアーに挑戦しようという動機は? 「別にアメリカでもよかったのですが、今年の成績(9月5日時点で17位)ではアメリカのファイナル出場の資格が取れなかったので……。とくに欧州にこだわりがあったというわけではありません」 ------日本ツアーから少し離れてみようと……。 「いや、そうではなく、これまでスポットで海外の試合に何度か出ましたが、思うような成績が出せず、海外慣れをしなければ、と思っていたのです。そのためにはスポンサー推薦ではなく、Qスクールを自力で突破して、長期間、腰をすえてやらなくては、と考えていたんです」 ------学生時代に5年間も留学していのに海外慣れ? 「日本のツアーに出始めたときもそうでしたが、テレビでしか見たことがないジャンボさんとか中嶋さんなんかが同じ練習場にいたりすると硬くなってしまう。僕は慣れるのに時間がかかるんですよ。日本はもう慣れましたけど、海外では、まだ周囲に有名外国選手がいたり、ギャラリーが外国人だったりすると、意識してしまう。ずっと出続けていれば、それもなくなるのではないかと考えのです」 ------開幕戦からずっと欧州? 「はい、開幕は今年の12月初旬に香港で欧州ツアーとアジアツアーが共同で開催する試合があり、そこから出ます。いきなり欧州ではなく、アジアですから、ギャラリーも東洋系の人が多いから、ゆっくり慣れるにはいいんじゃないですか(笑)」 ------日本の試合は? 「今のところどうするか、まったく考えていません。後半戦はQスクール通過組の選手が出られない試合が多いようなので、そのころになれば戻って来るかもしれませんね」