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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。

週刊ゴルフダイジェスト 12/9号
2003年更新
流行の複合素材ヘッドに「待った」かける
フルチタン構造の新モデルが各社から続々
今年のドライバー市場は、異素材を組み合わせた複合素材ヘッドのものが話題の中心となっている。そんな中、年末商戦を控え、各メーカーが続々と来年度モデルを発表しているが、ヤマハ、ダイワ精工など、複合素材ではなく、フルチタン製のニュードライバーを主力に推すメーカーが意外に多い。果たして、今後どちらか一方が主流となっていくのか? それとも2つの路線が敷かれていくのか? そもそもその効果、性能にはどんな違いがあるのだろう?

 12月1日発売のヤマハ『ニューインプレスV』のコンセプトはズバリ高反発。ソールに刻印された0.870(自社測定値)という反発係数を稼ぎ出すため、フェースだけでなくクラウンとソールまでがたわむように設計されているのが特徴だ。「コンポジットクラブは、インパクトで軟らかいクラウン部分だけがたわんでフェース面が上を向き、高打ち出しと、スピン量の減少によって飛距離を出すための構造ですが、生身の人間が打った場合に理論通りの球筋になりにくい。一般アマに多いスピン量と打ち出し角の範囲では、高反発の効果が一番飛距離に影響すると考えたのです」(ヤマハ・広報)

 素材をチタンにした理由については、「カーボンを含め様々な素材をテストしていますが、反発性能ということではβチタン系素材が一番」(同社広報)と、あくまで高反発を重視した結果だという。

 同じく高反発をコンセプトにし、その名の通りチタン素材のみで造ったのが、来年1月1日発売予定の、ダイワ精工『オノフ・フルチタンドライバー』だ。こちらはクラウン部分の内側を波型に成形することで、インパクト時のたわみ効果を大きくし、ボール初速が上がる設計だ。

「開発にあたっては、他の素材を使って、より高打ち出し、低スピンを狙うことも考えましたが、そうするとボール初速が落ちてしまう。一般ゴルファーは、ボール初速の落ち込みによる飛距離ロスが一番大きいので、オールチタンで反発力を高める方向を選択しました」(ダイワ精工・広報)

 両者の高反発性能を可能にしているのが、実は新しい溶接の技術。問題になるのは、溶接時に素材にかかる熱だ。

「熱が多くかかるとチタン自体が変質して、弾性率が下がります。言ってみれば刺身に火を通してしまうようなもの」(ダイワ精工・広報)というほど、影響が大きい。ヤマハと、ダイワ精工はそれぞれ独自の技術によって、フェースとボディの溶接の際に素材にかかる熱の影響を最小限にし、反発性能の劣化を防ぐことが可能になったというわけだ。

 その他のメーカーでは、マルマンがナノテク素材のフラーレンチタンを使用して、反発を高めた『マジェスティ』の新モデルを追加。また、セイコーSヤードの『TXドライバー』もフルチタン・高反発設計だが、こちらは逆にヘッドのボディ剛性を高め、フェースの反発力アップに的を絞っているところが他社と異なっている。

 また、注目のダンロップ『ゼクシオ』の新モデルが12月1日に発表されるが、ここ数年ドライバー市場をリードしてきた同モデルが複合ヘッドを採用するのかどうか注目を集めている。かねてから「複合ヘッドが主流となるか見極めたい」としてきた同社だが、こちらも複合素材ではなく、フルチタン構造になることが濃厚と見られている。

 そもそも、プロギア『TRデュオ』をはじめとする複合素材ヘッドが登場した背景には、昨年発表した2008年からの反発係数規制がある。メーカーは、飛距離を決める3要素 --- ボール初速、打ち出し角度、スピン量のうち、反発係数に関わるボール初速以外で飛距離を伸ばすことを余儀なくされたわけだが、依然、反発を高めることが飛距離に直結することも、紛れのない事実だ。

 08年まであと4年。今から4年前の99年には、まだ、高反発の火付け役、初代ERCすら市場に登場していない。それくらい一般ゴルファーの消費サイクルは早い。それを考えれば、期間限定とはいえ、08年までは高反発の恩恵を享受するのが賢い選択なのかもしれないが、さて、あなたはどちらを選ぶ?

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