週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。
今季開催された男子ツアー29試合すべてに出場した唯一の選手が平塚哲二だ。昨年も全試合出場を目指したが、優勝者と賞金ランク20位までしか出場できない日本シリーズはランク28位で出場できなかったので、今年もまた全試合出場を目指し、優勝もしくはランク20位以内に入ることを目標にしていた。 昨年末に開かれたアジアツアーと日本ツアーの共同主管のアジア・ジャパン沖縄オープン(賞金は今季分に加算)で4位タイに入ったのを皮切りに日本シリーズ前週までの28試合でベスト10入りが実に14回という安定した成績で、賞金ランクは4位と大躍進。念願の日本シリーズ出場を果たした。 しかし、再三優勝争いに食い込みながら、最終日にスコアが伸ばせず勝てなかった試合も多く、「平塚が勝てないのは日本ツアーの7不思議」とまで言われるようになったほど。 この詰めが甘いという弱点を平塚のコーチ、内藤雄士は「最終日に崩れて負けた試合は少なく、スコアを伸ばせなかっただけ。2位と3打差ぐらいのトップで最終日を迎えれば勝てるはず」と見ていた。 果たして、2位の伊沢と3打差のトップで日本シリーズ最終日をスタートした平塚は、コーチの予言通り逃げ切り、最終戦でツアー初優勝を飾ったのだ。 この優勝で平塚の賞金額は1億2000万円を超え、賞金ランクも2位に。ちなみに海外賞金を除く国内だけの賞金ランクでは、1位の成績となった。その平塚の優勝の声をお届けしよう。 ------優勝するのには、何かが足りないと悩んでいたようだけれど、発見はあった? 「ショットがプレッシャーで壊れていっても、あとにつなげられる、その日で一番いいもの、パットでも、アプローチでも、ひとつあれば、それでOKやということですね」 ------今回もピンチを招くショットをパットで凌いでいたが。 「ショットのときはもうドギトキでした。『どこへ行くんやろ、これ』と思いながら打ってましたけど、パターのときは落ちついて集中できました。あんなにパットが入ったのは初めて」 ------最終日はノーボギー。 「ショットが乱れてもあまり打たない。そういうゴルフがほんまは僕のゴルフなんでしょうね。今年はそういう1年でした」 ------今回は優勝を意識して大会に臨んだとか。 「去年、日本シリーズに出られなくて悔いが残っていたので、今年はそれを目標にしていました。で、途中で、もう優勝しなくても出られるラインに行ったので『今年は最高の年やったけど、悔いが残るのは優勝してへんことだけやな』と言いながら最終戦に行ったんです。それで、ほんまに優勝を意識して、自分にプレッシャーをかけながらやったら勝ってしまいましたね」 ------1年間、安定した成績を出せたのを自己分析すると。 「スウィングを見てもらっている師匠の太田了介さんとか、やっぱりコースで見てもらっている内藤コーチ、その力が大きいですね。一昨年より、去年より、ショットに対する精神的な負担はずっと薄れてきているし、安心感があります。悪いときに、どれだけ曲がる幅を押さえることができるかとか、いろいろ聞いて、勉強になります」 ------これからの課題は? 「青木さんやジャンボさんみたいに、長く上にいられるようになりたいし、今の伊沢さんとか片山晋呉君みたいに、調子が悪くてもつねに上にいる選手にはなりたいですね。そのためには何をしたらいいのかは、わからないから練習します。練習だけやと思います、僕には」 ------これで賞金1億2000万円。感想は? 「想像できないですね。自分が稼いだという実感もないし」 ------賞金王とも大差ではない。 「今年も途中で賞金王は意識はしていました。でも『2勝ぐらいせんと届かへんな』と思ってました。賞金王は、やっぱり狙いたいですよね」