週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。
テーラーメイドの「ラックCGBアイアン」がそれで、3~5番は、日本シャフトが出す、人気の軽量スチールシャフト、NSプロ850GH、6~8番は同950GH、それより下の番手には同1050GHを装着(それぞれ約10グラムほどの違いがある)しているのだ。 簡単に言うと、長いアイアンには重量の軽いシャフト、短いアイアンには重いシャフトが入っていることになる。もちろん、これまでもカーボンシャフトなどで、番手ごとに自然にウェイトがフローさせているセットはあった。ところが、今回は3種類それぞれがまったく別の既存商品(シャフト)を組み合わせてひとつのセットにしている点が画期的である。 テーラーメイドは、なぜこのようなセットを作ったのか? 「ここ10年で見ても、ウェッジの重さはほとんど変わっていないのに、ドライバーはどんどん軽くなっている。ということは、アイアンのウェイトフロー(番手ごとの重さの違い)を、軽くなったドライバーに合わせたほうが打ち易いだろう、ということです。長い番手をより軽く、短い番手はこれまでと同じ重さにするためには、1種類のシャフトでは不可能だったので、結果として重量の違う3種類のシャフトを使うことになりました」(広報担当) しかし、同じセットの中で違う種類のシャフトが混在していると、番手ごとの使い勝手が変わってしまい、違和感があるのでは? という不安もあるが、クラブ設計家の竹林隆光氏は「ロングアイアンになるにつれて軽くするのは、打ち易さを考えると正しい設計意図だと思います。また、そもそもロングアイアンとショートアイアンは機能的にまったく違うクラブですから、違うコンセプトで作ったとしても不思議はないし、違和感もないと思います」と話す。 かつて、5番から上がユーティリティ型というアイアンセットがあったが、ユーザーの伝統的なセットに対するこだわりが根強く、市場では受け入れられなかった。しかし、最近では、セットが5番からPWまでの6本だけというものも当たり前になってきたし、先述のように、3~4番、5~7番、8番~PWでそれぞれまったく違うヘッドが付いているナイキの「プロコンボ」、今回と同じテーラーメイドの出す「ラックコンボ」など“非伝統的”なセットも次第に出始めてきた。 ともすると新素材、新デザインばかりが注目を浴びる新製品だが、今回の“非均一シャフト”の登場で、アイアンセットの既成概念がより自由なものになっていく可能性もある。そういった意味では注目の商品だと言えるだろう。