週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。
足利銀行は、今年9月から金融庁の立ち入り検査を受けていたが、その結果、銀行側の査定と、金融庁側の査定に開きがあることを金融庁から指摘され、銀行が想定していた以上に不良債権処理を求められたことが破綻の原因になった。 すでに足利銀行の持ち株会社である、あしぎんフィナンシャルグループから預金保険機構に大株主が交代して国有化されているが、今後は国の管理下で、今まで通り業務を継続しながら、正常債権と不良債権を分け、不良債権はRCCか産業再生機構に移され、身奇麗になったところで他の銀行に売却されることになる。では、足利銀行やその関連ノンバンクから融資を受けているゴルフ場はどうなるのか。 足利銀行の大口融資先として知られる鹿沼グループが経営する鹿沼CC(足利銀行グループ全体で78億円の担保が設定)や鹿沼72CC(同85億円)を始め、栃木ヶ丘GC(同20億円)にも足利銀行本体や、その系列ノンバンクなどの担保が設定されている。一時期はあのアイチも関与した紫塚GC(足利銀行本体のみで38億円の担保設定)や、その系列のつつじヶ丘CCも足利銀行の融資先だ。 足利銀行の破綻発表に伴い、竹中平蔵金融担当大臣は「健全な企業に対しては融資は当然行われるし、経営的に困難な企業に関しても、できるだけ再生させる方向で新経営陣には努力してもらいたいと思っている。即、RCC送りということではない」と発言。足利銀行側も「今回の一時国有化により、従来の融資スタンスに変更はない」(同行広報)としている。 ただ、金融界からは一歩引いた見方も出ている。 「直前の査定に開きがあったのだから、今まで足利銀行が正常と考えていた融資先の中には、そうではなくなるところもある。すべての融資先が今まで通りであるわけではない。融資を受けている各ゴルフ場経営会社が金融庁から正常な融資先と見られているのか否か。後者なら当然RCC送り。ただ、たとえそうだとしても、即ゴルフ場が競売されたり、RCCから破産や民事再生、更生法などの申立を受けるかどうかも疑問であることは過去の例からも明らか。ただし、融資の返済メドが立たないゴルフ場経営会社がいつまでもお咎めなし、ということもあり得ないので、じわじわと影響は出てくるのではないか」(大手行回収担当) もはや日常茶飯事となったゴルフ場の民事再生の例を見ても、集客の要になる会員の扱いについては、預託金はカットでもプレー権は維持、というスタイルが定着している。一挙に事態が動くことはなさそうだが、会員は成り行きを冷静に見ていく必要はあるだろう。