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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。

週刊ゴルフダイジェスト 1/20号
2004年更新
“ザル法”だった高反発規制、米ツアー
開幕戦から、任意だが簡易測定器を設置
 米ツアーは、今週のメルセデス選手権から開幕するが、あることが選手の間でちょっとした話題を呼んでいる。実は、今週からドライバーのクラブフェースの反発係数を測定する振り子式簡易測定器が導入されるのだ。さらに、今年からプレーヤーやキャディに、すべてのストロークにおいて、使用クラブを調査し始める予定なのだ。

 日本の男子ツアーでは昨年から導入された高反発ドライバー規制だが、米ツアーではすでに99年の3月から使用が禁止されている。しかし、これまで実際に試合会場でテストされることはなく、USGAが公表する違反ドライバーリストにさえ記載されていなければ適合となる、いわばザル法となっているのが実情だ。ところが、昨年の夏に、ウッズが「違反ドライバーを使用しているプレーヤーがいる」と問題発言して物議を醸したのに対し、USGAとR&Aは、簡単に持ち運べる振り子式簡易測定器を開発・発表。昨年末にはこれを正式なテスト器として、ツアーに導入することを認定している。これを受けて、PGAツアーでは、「プレーヤーたちが、自分のクラブをチェックできるように設置するとともに、競技委員が、テストの必要性を感じたときに、すぐ使用できるようにする」(T・フィンチェム、PGAツアーコミッショナー)ために、テスト器の導入を決めたというわけだ。もっとも、これは1番ティで出場選手全員のクラブをテストするといった強制的なものではなく、「ゴルフは(レフリーのいない)名誉と尊厳のゲームで、今後もこの原則は守り続けていくつもり」とフィンチェム・コミッショナーが語るように、メルセデス選手権でのテスト器の評価如何にかかわらず、あくまでプレーヤーの自発的な判断で、テスト器を“設置する”だけに留める模様だ。

 ただ、強制力はないものの、競技委員が必要だと感じたときに選手のクラブをテストできるとしたため、現実的には心理的なプレッシャーから、違反クラブの使用者がいなくなるとの見方もある。

 もうひとつ、やはりこれも、プレーヤーには、本来答える義務はないものだが、PGAツアーでは、選手の使用クラブの聞き取り調査を始める予定なのだ。つまり、現時点ではショットの飛距離や、ボールの行方などがわかる「ショットリンクス」と言われるインターネット上のファンサービスがあるが、それに使用した番手がわかるようにすることで、そのサービスを充実させるために行われる。

 その一方で、「今年、USGAがゴルフボールの飛距離制限に関するルール改訂を予定しているが、こうした用品の制限が、実際にどんな影響を与えるかを知るために、今後計測するのに役立つ。現在は、飛距離に関して言えば、18ホールで2カ所(パー5でティショットの飛距離を)公式記録として計測しているけど、それだってどんなクラブを使用していたかわからなかったら意味はない。でも、これでわかるようになる」とのことで、ラウンド終了後に、毎ショットの番手を、プレーヤーかキャディに聞き取り調査を行うというのだ。

 この調査は、昨秋にもテスト的に行われたが、今年から毎試合での調査が行われる予定とか。かつて、ショットリンクス立ち上げの際も、ショット毎に使用の番手を聞くという計画が出されたが、インターネット上で、ライブでこうした情報を流すと、後からプレーをする選手が参考にし、有利になるといった批判もあり、一度は計画が流れた。そのためもあり、現時点では、ラウンド後に聞き取り調査をすることになった。

 いずれにしても、プレーヤーたちにとっては、面倒な作業が増えることになるだろうが、ファンにとっては、楽しみ方がより増えることは間違いなさそうだ。

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