週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。
というのも、昨年も参加していないアクシネット(タイトリスト、コブラ、フットジョイ、ピナクルなどの親会社)、ピン、アダムスゴルフなどに続き、テーラーメイド・アディダスゴルフも今年のショーに参加しないことを決定したからだ。 さらに、クリーブランド・ゴルフも「ショーの日程や内容の大きな変更がなければ、今年のショーが最後になる可能性が非常に高い」(G・ホプキンズ社長)と語っているし、昨年までブースを出していたナイキやウイルソンも、今年はブースを出さず、試打会場に陳列したり、ファッションショーでウェアを紹介するだけ。 米PGA用品ショーは、もともとクラブプロたちの組織であるPGAオブ・アメリカが主催しており、日本の用品ショーと違い、一般ゴルファーは入場できず、業界関係者のための商品受注会といった色合いが濃い。実際、かつては、このPGAショーで米ゴルフ用品の年間の50パーセント以上の受注を受けていたとも言われたが、新製品の発表サイクルが早まったことと、メーカー各社が独自の受注会を催すようになったことで、受注会としてのPGAショーの価値が低下してしまった。 まだ、PGAオブ・アメリカがショーの権利を開催会社に売ってしまう以前であれば、ショーに出展することが最終的にはPGAのプロたちに還元されることになるため、メーカーは、義理でもショーに出なくてはならなかったのだろう。しかし今では、そうした心理的な拘束力もなくなりつつあるし、なにより、昨今の不況が追い風となって、PGAショーからのメーカー離れを引き起こしているようだ。 「長年、私たちはショーで多くのビジネスを行ってきたが、費用対効果に疑問が生じ、不参加によって浮いた費用と人材を、販売のための顧客サポートなどに充てる予定だ」とTMAGのM・キング社長が語るように、大手メーカーにとって、2億円を超えるとも言われるショーの出展コストも馬鹿にできなくなってきている。 ナイキやウイルソンの動きは、そうしたコスト削減の新手法とも言える。というのも、巨大出展ブースを抱える大手メーカーにとっては、会場費より、人件費や移動代、接待費のほうがかさみ、コスト全体の80パーセント前後になるところも少なくない。それだけに、従来のブースでは出展せず、会場内の試打会場などで、商品を展示することで大幅にコスト削減ができるというわけだ。 つまり、大手メーカーにとって、ショーの主目的を、受注会から商品の展示・紹介へとシフトさせつつあるということだろう。もちろん、そうした大手を尻目に、中小メーカーにとっては、やはりPGAショーが新製品を発表する場所であり、年間最大の受注会であることに変わりはない。ある意味では、PGAショーが、これまでの大手メーカー中心から、中小メーカー中心の用品ショーに変わりつつあるといえるのかもしれない。