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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。 内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。 |
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週刊ゴルフダイジェスト 2/3号 |
2004年更新 |
新聞等で騒がれたPGAとJGTOの関係
結局、合併どころかツアー名称変更もナシ
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新聞等で報じられ、巷で騒がれていた日本男子ゴルフの二大団体、日本プロゴルフ協会(PGA=長田力会長)と、日本ゴルフツアー機構(JGTO=島田幸作理事長)の合併は、単なる噂に過ぎなかった。
先週の15日、恒例のゴルフ新年会の後、急遽行われた両トップの合同記者会見は、60人以上もの報道陣、関係者が集まり、注目を浴びた。何しろ「現在のツアーの名称、『ジャパンゴルフツアー』が『日本PGAツアー』に変更される」「事務所を同じビルに移転する」などと、合併に向けての動きがあちこちで報道された直後だったためだ。
ところが、いざフタを開けてみると、すでに話に出ていたことが改めて説明されただけ。つまり、本来の役割である“ゴルフの普及”という目的から、試合会場でのレッスンや、チケット販売等をしてもらう代わりに、トーナメント開催地域のPGAの選手に対し、シード権を持っていなくても各大会にひとつある理事長推薦枠を与えるのに加え、スポンサーの理解があれば推薦出場枠をもうひとつ与えるといった内容で、拍子抜けした会見に終始した。
ツアー名称の話に関してもまだまだ先の話。しかも、双方ともバックに抱える会員たちに気を遣ってか、歯切れが悪いうえに、温度差が見え隠れした。
「海外では『ジャパンPGA』と言われることも多いし、一部の(PGAの)理事さんからも『PGAツアーという名称を使ったら』と言ってもらったこともあり、PGAさんの理事会でOKが出て、うちの理事会も通ったらという話。ただ、こちらにもすでにJGTOのロゴマークがあるし、変えるとしても呼び方だけ」と島田JGTO理事長が言えば、一方の長田PGA会長も煮え切らない。
「正確に理解されないといけないので、まだ理事会にも正式に諮っていない。ただ、(PGAの)ロゴマークを全国に浸透させたいので、使って頂けるならいいことです」と言うが、この前日に行われた理事会ですら、正式議題にも上げていないというのでは話にならない。
また、両団体の合併については、将来的にも双方完全否定。
「考えたことはないし(合併という言葉を)使ったこともない。(元の鞘に納まるなんて)そんな不細工なことはできないでしょう。協力し合えるところからどんどんしてはいきますけど」(島田理事長)
「就任当時から一貫して別団体で共存共栄していくと言っている」(長田会長)
そもそも99年、それまでトーナメントプロもレッスンプロもPGAという同じ屋根の下にいた状態から、米ツアーのように、ツアーを主管する団体として分離、独立したJGTO。その成り立ちの経緯もあり、当初は決して友好的な間柄ではなかったが、昨年、PGAで長田現会長が就任し、副会長となった倉本昌弘が、その後JGTOの副理事長にも就任したこともあり、両者間に交流が生まれ、関係に変化が見られ始めた。
しかし、任意団体のJGTOが、かねてより望んでいる法人格取得のためには、同じ業界で内容がダブる、先駆者のPGAの許可が必要だったが、依然PGAはこれをはねつけている。
「反対だったのを撤回してニュートラル(中立)にするところから始めないと」と長田が歩み寄りに動き、「最初はプロとして大先輩の(島田)理事長に私が就任の挨拶に伺った」ところからトップ対談を繰り返した。
このことにしても「なぜこちらから歩み寄る必要があるのか」と、PGA内部で批判されていた長田会長は、今回の報道に過敏になり、前日の理事会後の記者発表の席でも、ツアー名称や一本化がからんだ質問に対して「明日、島田理事長と一緒に」と明言を避けている。
まるで交際が報道されたカップルが、周囲への配慮で言い訳をする、アリバイ作りのような肩透かしに終わった記者会見。年頭挨拶の後に、こういった会見を開かなくてはならないところに、双方トップの足元のおぼつかなさが見え隠れする。
長田会長は、全国各地区から選ばれた代議員による総会、そして理事会でも、毎回あちこちの綻びや、先走りを突っ込まれてしどろもどろになり、存在そのものを疑問視する声もあるほど。資金面では安定しているが、看板となるツアーを持ち去られた弱みは残り、たった2つ手元に残った公式戦も、日本プロマッチプレーに関しては、昨年に続き、依然スポンサーが決まらないという実情がある。
一方のJGTOにも、ツアーのアンブレラスポンサーだったイーヤマに去られた後、代わりが見つからず、資金繰りは苦しくなる一方。試合で選手が稼ぐ賞金からJGTOの運営費に充てる金額を増やすに当たり、選手たちから突き上げを食っていたのがその証拠だ。これらの事情が絡み合い、5年前に「別組織のほうがいいから」と、PGAと喧嘩別れしたはずのJGTOとの間に、今さらながら復縁話が噂になったというのが真相のようだ。
今後のあり方についてを問われると「ゴルフ界のためにもお互いにいい関係で」という島田理事長の言葉に長田会長はうなづくばかり。ゴルフ界全体を考えるのも必要だが、まずは自分たちの組織固めをしっかりするという姿勢が欠けているような気がしてならないのだが。
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