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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。 内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。 |
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週刊ゴルフダイジェスト 2/3号 |
2004年更新 |
倒産コースの預託金9割超カット時代に
2つの“森”グループでは高弁済率を実現
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六本木ヒルズの大成功で注目を集める森ビル(森稔社長)が、ゴルフ場事業においても元気だ。すでに傘下に収めている宍戸ヒルズCC、静ヒルズCCなどを軸に、都市生活者のための付加価値サービスの構想を打ち出している。
森ビルは現在、六本木ヒルズレジデンスや、愛宕グリーンヒルズなど、大規模高層マンション2300戸を「森living」のブランドで提供。これを「都心ヒルズ」と呼ぶ一方、「リゾートヒルズ」として、すでに一昨年傘下におさめた宍戸国際GCの宍戸ヒルズCC(36H=旧宍戸国際宍戸コース)と、静ヒルズCC(18H=旧宍戸国際静コース、ともに茨城県)を展開している。
この経営権取得の経緯について少し説明すると、2代目社長と先代の番頭格重役との内紛に端を発し、会員が会社更生法を申請したのが平成13年3月のこと。森ビルが50パーセント、会員が50パーセントを持ち合い、再出発を図る更生計画が翌年12月に可決された。従来の2コースの共通会員を廃止するとともに、翌15年にはコース名を先述の通り変更。また、預託金会員に対しては、実に36.08パーセントもの高配当が2回に分けて支払われ、かつ会員のプレー権も保障した。業界関係者の間でも、「前代未聞の高配当とスピード解決」と、評価される由縁でもある。
また、宍戸ヒルズCCに関しては、昨年より男子ツアーの「日本ゴルフツアー選手権」に会場を提供すると同時に「宍戸ヒルズカップ」として、森ビルが同大会の特別協賛企業にもなっている。
さて、その「リゾートヒルズ」だが、「まだ構想段階で、既存会員の皆さまとの話し合いも必要で、明らかにすべき時期ではありません。ただ私どもは快適都市生活創造企業を目指しており、居住者の週末、リゾートの提案も行っていきたいと考えています」(同社広報室)とし、構想段階ではあるが、静ヒルズCCについては、家族向けリゾートとしてリニューアルする方針はほぼ決定。家庭菜園コーナー、小学生向けゴルフコース、ミニサッカーのフットサル、リゾートホテルを併設したレジャーリゾートを検討中で、企画設計者には世界的に著名な建築家の名前も挙がっている。また、これもあくまで計画段階だが、「森living」の居住者が、宍戸ヒルズCC、静ヒルズCCを優先的に利用できるサービスについても実現に向けて模索中だ。
また、現在は資本関係のない別会社であるが、もともとは森ビルの兄弟会社であった森トラストグループ(森健社長)のほうも、昨年12月18日、オークビレッヂGC(千葉県)の経営を引き継いだ。グループの中核である森インベスト・トラストが所有権を取得し、新設したMTゴルフマネージメントという会社が従業員を再雇用し、すでに運営を始めている。
女子ツアーの東ハトレディスの会場でもあった同GCは、もともとは東ハトが経営していたゴルフ場。一度は本業へ専念するため、世界の数多くのゴルフ場を運営するトゥルーンゴルフと運営受託契約を結んだが、昨年3月に民事再生法を申請した。再生計画案は製菓事業とゴルフ場事業を分離、後者については森トラストグループに営業譲渡するという内容で、11月12日の債権者集会において、債権者数で99パーセント強、債権額で97パーセント強の圧倒的多数で可決された。
約300名の会員に対しての処遇だが、製菓事業の営業譲渡で得た資金もあり、預託金の27.5パーセントという、こちらも高額弁済で、すでに一括で弁済を終えている。残る預託金は放棄となるが、会員のプレー権も保障した。具体的にはすべてが法人会員で、1口4名記名だったものを、「1口記名」の4口(無額面)に分割、法人内での名義書換は認めるが、原則として第三者への譲渡は認めない。ただし、新たに預託金150万円を支払った場合に限り、第三者への譲渡を認めるとしている。
いずれにせよ、債権者集会での高い賛成率からもわかるように、債権者である会員には、好条件であったことは間違いない。なお、森トラストグループにとっては、ラフォーレ修善寺&CC(静岡県)、ラフォーレ白河GC(福島県)に続き、3コース目となる。
ゴルフ場再生事業への参入について同社では、「オークビレッヂについては、素材もよく、十分に採算が取れると判断しました。今回のようにいいものがあれば、今後も検討していきたいというのが当社の姿勢です」(同社・業務管理部)としており、積極的に参入していく方針も覗かせている。
相次ぐゴルフ場破綻、そして外資に限らず新スポンサーを軸とする法的整理では、預託金の90パーセント以上のカットが常識。そんな流れの中、どちらも高い弁済率とプレー権の保障、しかもそれが日本企業の手によって行われた点は注目に値する。自分のゴルフ場が経営破たんしてしまった会員にとっては、このように不幸中の幸いとなるかどうかは引き受け先次第なのだ。
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