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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。 内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。 |
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週刊ゴルフダイジェスト 2/10号 |
2004年更新 |
昨年のゴルフ場倒産件数と負債総額が
ともに前年度比減、不況のピークは過ぎた?
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一昨年に引き続き、昨年1年間で倒産したゴルフ場の負債総額は2年連続で2兆円を超えた。しかし、件数は一昨年の109件から90件へと減少。ようやくゴルフ場不況も底を脱したかと見る向きもある一方、一昨年に次ぐ過去2番目の倒産件数に、まだまだ冬の時代との意見も……。ゴルフ場業界の置かれた環境に迫ってみた。
調査は民間の信用調査機関である帝国データバンクが1月19日に発表したもの。倒産件数は90件、負債総額は2兆230億円と2年連続で2兆円を突破し、倒産件数もあわせて史上2番目の最悪の数字となった。
昨年の主な倒産は、2月に業界大手の日本ゴルフ振興が民事再生法を申請(11月に会社更生法に切り替え)、グループ3社での負債総額が3574億円。また、8月には緑営グループ計8社(同3106億円)が民事再生を、1月には太平洋観光開発(同1164億円)が会社更生を申請するなど、ゴルフ場経営会社の1000億円を超える大型倒産が相次いだ。
ちなみに、昨年1年間の、すべての業種を合わせての倒産件数は1万6624件。負債総額は約11兆7700億円。ゴルフ場経営会社は、そのうちわずか90件ながら、負債総額では全体の20パーセント近くを占めるという事実は注目に値する。実際、昨年度の全業種の大型倒産として、日本ゴルフ振興(2位)、東京湾観光(12位)、緑営開発(13位)、太平洋観光開発(14位)などが上位を占め、また、ゴルフ場経営専業以外も含めると朝日住建(1位)、エスティティコーポレーション(3位)、ハウステンボス(6位)、レオマ(11位)などを含めると、「ゴルフ関連企業」の大型倒産が目立つ調査結果となっている。
もっとも、負債総額の大きさは、日本のゴルフ場業界の特殊事情とも言える預託金制度の反映といえる。負債総額には会員の預託金がカウントされ、法的整理になると必然的にこれが負債を膨らませる結果になる。実際、ゴルフ場の場合、倒産と言っても90件のうち民事再生が68件、会社更生が7件と、再建型倒産が83.3パーセントを占めている。破産手続きは9件あるが、その後、競落者によりゴルフ場として再出発を図るケースが多いのも、この業界の常ではある。
依然高水準とはいえ、昨年よりは倒産件数、負債総額ともに減少傾向にあり、また下半期からは件数こそ減っていないが、目立った大型倒産もなかったことから「ゴルフ場倒産時代が終焉を迎えた」との見方もある。実際、96年から6年連続してあった5000億円超の大型倒産もここ2年は発生していない。
さて、この調査を専門家はどう見るのか。日本ゴルフ総合研究所の降旗貞夫専務理事は「今後も倒産は件数、負債総額ともに減少傾向を辿るだろう」として、次のような理由を挙げる。
「ひとつは償還問題の影響で法的整理に踏み切ったゴルフ場がおおむね一段落がついたこと。そしてリストラ、効率経営の徹底により収益環境が改善され、黒字までは計上できないものの、平均5000万円前後のキャッシュフローができるまでになり、資金繰りの悪化での倒産が予想できないことにある」とする。
では、ゴルフ場倒産時代に一段落がつき、ようやく業界に春が来たと見ていいのか?
「日本には約2000の預託金制コースがあるが、うち半分の約1000コースがすでになんらかの手立てを打ったと見る。たとえば法的整理は、すでに約420コース。営業譲渡やM&Aで約200コース。RCCや民間サービサーが債権を持ち、運営委託やとりあえず今の経営陣にやらせているものが約400コース弱。問題は残る1000コース近くだが、うち250~300コースは経営的に問題なしと見ていい。残る700~750コースだが、これがバブル期建設のゴルフ場数と重なり、ゴルフ人口に対して過剰部分とも言える。これだけのコースをどう処理していくかは、今後の大きな課題だろう」と話す。
同研究所の調査では、売上高に占める人件費比率は全国平均で45.7パーセント、黒字経営コースの平均で44.3パーセントと差がなくなる傾向にあり、すでにリストラ、効率経営もできることはすべてやった、という状況。それだけに、過剰分のゴルフ場との共存を前提にすると、「あとはゴルファーを増やすこと。そういう当たり前のことに業界が真剣に取り組む時代に突入したのでは」(降旗氏)と締めくくった。
ゴルフ場は楽しい場所であるだけに、こうした不景気な話題とは、いち早く訣別したいものだが……。
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