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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。

週刊ゴルフダイジェスト 2/10号
2004年更新
天下の三井物産系列ゴルフ場が民事再生も
さすがに預託金返還の方向で会員と交渉中
 日本を代表する総合商社の一角、三井物産の系列ゴルフ場経営会社・白鷺ゴルフクラブ(株)が、1月16日、民事再生手続の開始を申立て、波紋を呼んでいる。 白鷺GC(兵庫)は三井物産の100パーセント子会社で、バブル末期の平成2年からコースの開発に着手、オープンは6年後の平成8年。用地取得がバブル末期だったこともあり、建設コストが大幅にかさんだ上、1700万~2000万円で売り出した会員権の販売も難航。昨年3月時点の会員数は募集1000人に対し、わずか240名。

 民事再生申立時点での負債総額は187億円だが、そのうち預託金は約46億円で、残りは三井物産、銀行など4社からの借入金だという。

 開業以来、三井物産は運営費の支援も続けてきたようだが、「開業以来一度も黒字化したことがなく、今後も収益改善と借入金返済の見通しが立たない中、経営上支援を続けていくことを断念せざるをえない」(三井物産・広報)という判断。

「大阪圏からは遠いので、立地は良いとは言えないが、フラットで雄大で、とにかくコースはすごくいい。ただ、基本的にメンバー同伴じゃないとダメ、三井物産の取引先に頼まないとなかなか予約を取れなかったりと、今どき珍しく閉鎖的で、三井物産グループ企業の接待コースという印象。名義変更も、同じ法人内で記名が変わるだけで、基本的には名変料も入らず、会員も少ないから年会費収入も少ないはず。その上に少ない会員が同伴じゃないとビジターを入れないんだから、経営はかなり苦しかったのでは。昨年秋ころから『1500万円でなら三井物産が会員権を買い取る』、という条件でメンバーと交渉を始めていたから、最終的にはメンバーなしのコースにして売却する気だろうと見られていた」(関西圏のゴルフ会員権業者)と言う。

 三井物産では「かなりの会員権をすでに三井物産が買い取っており、今後も会員に対し買い取り交渉を続けていく。今後については経営権を手放すことも含めて検討していく」(同社広報)そうだ。

 三井物産が首尾良く会員権をすべて買い取れれば、債権者は三井物産自身と金融機関3行だけになる。同社では明言を避けているが、必ずしも第三者への売却だけが選択肢ではなく、パブリックでの運営なども選択肢のひとつとして残っているということなのだろう。

 三井物産は昨年夏以降、積極的にグループ会社の整理・再編を進めており、昨年7月以降、13社を清算している。国内、海外、業務分野も多岐にわたり、「今回もその一環」(同社広報)だと言う。

 ただ、金融機関借入の返済期限まではあと2年、預託金の償還期限には4年もある。場合によっては会員もいなくなる中、金融機関3行との話し合いだけで済むはずなのに、この時期に民事再生を選択した理由については「それが最善の方法と判断した」との説明に留まる。

三井物産には白鷺GC以外に、系列コースが4コースある。松名CC(愛知)の経営会社は矢作建設工業との合弁会社だが、鶴舞CC(千葉)、那須国際CC(栃木)、竹岡GC(千葉)はいずれも100パーセント子会社で経営しており、竹岡はパブリックだが、その他のコースはいずれも会員制。今後の展開が気になるところだが、この点についても「各コースの経営課題は各コースごとに考えていく」との説明に留まっている。

 ゴルフ場の民事再生申し立てが日常化、一部上場会社の系列コースと言えども例外ではなくなったとはいえ、その多くは上場の親会社自身が破綻したことが原因になっているケースが大半だ。親会社が破綻していない中での系列コースの申立事例としては、ダイワヴィンテージGC(親会社・ダイワ精工)、三木の里CC(親会社・河合楽器)、アカデミアヒルズCC(親会社・旧ハザマ)など、まだまだそう多くはない。

 ダイワ精工も河合楽器も、道義的責任だけで系列コースの預託金債務をすべてかぶると、本体の経営基盤に影響を与えかねないという理由での民事再生申立だったが、基本的に会員には迷惑をかけないという点では、さすがに天下の三井物産のプライドを守ったということだろう。

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