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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。 内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。 |
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週刊ゴルフダイジェスト 2/17号 |
2004年更新 |
日本プロスポーツ大賞の男子ゴルフ新人賞は
昨年ツアー出場ゼロの大塚泰三、WHO?
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先週発表された日本プロスポーツ大賞には、メジャーリーグで活躍した松井秀喜が選ばれ、殊勲賞には、女子ゴルフ界から不動裕理が選ばれた。女子ゴルフ界での受賞は実に84年の岡本綾子以来の快挙だ。この選出にはまったく異論を挟む余地がないのだが、ゴルフ部門の男子新人賞に選ばれたのが大塚泰三。まったく無名の選手が選ばれたのはなぜ……?。
この賞は日本プロスポーツ協会が主催し、前年に活躍した選手が選出されているが、新人賞に関しては、「事実上その部門を代表する団体に依頼して選出している」(日本プロスポーツ協会)。その結果、昨年の男子プロゴルフ界でもっとも活躍した“新人”が、大塚泰三だったというわけだ。
この大塚という選手、昨年のPGA資格認証テスト(通称プロテスト)に合格したばかりの、たしかに“新人”選手だ。しかし、昨年はツアー出場試合はゼロ。一方で、“新人”で活躍した選手はもっと他にたくさんいるはず、という声が一部関係者から起こっているのだ。
たしかに、日本ゴルフツアー機構(JGTO)、スポンサー団体のトーナメント振興協会(GTPA)が選出する最優秀新人賞は、ともに、6月のよみうりオープンでツアー初優勝を遂げた谷原秀人である。さらに、一昨年はツアー出場ゼロながら、JGTOのクオリファイングトーナメント(QT)39位の資格で、昨年から、まさに“新人”としてツアーに参戦。17試合に出場し、賞金ランク67位で見事賞金シードを獲得した谷口拓也などは、まったく疑いの余地のない“活躍した新人”であるはずだ。
では、そんな選手たちを押さえて、なぜ大塚が栄えある新人賞に輝いたのか?
実質、この選出を決めた日本プロゴルフ協会(PGA)に聞いてみると、「大塚選手は、昨年の日本プロゴルフ新人戦で優勝しているからです」との答え。この試合は、昨年のプロテストに合格した選手56人だけで12月に行われた試合。彼らにしてみればツアーなどは雲の上の存在。実際、大塚も今季ツアーに出るためのQT(全部で4段階ある)では、ファーストこそ通過したが、セカンドで落ち、出場権は獲得できていない。
ちなみに、日本プロスポーツ大賞における男子ゴルフの歴代新人賞の顔ぶれだが、昨年こそ、やはり新人戦で優勝した杉本英樹。しかし、01年はD・チャンド、00年は片山晋呉、99年は横尾要と、受賞以前にツアーの第一線で活躍しており、決して“新人”とは呼べないような顔ぶれがズラリ。これについては「そうなんです。01年の時点で、これでは、どこまでを新人とするかの判定基準が難しい、という話が出て、それならわかりやすく新人戦の優勝者にしよう、ということになったのです」(日本プロゴルフ協会事務局広報)と説明する。
たしかに、どこまでを“新人選手”とするかの線引きは難しいが、女子では「過去3年以内にプロ入りした選手」(女子プロゴルフ協会)ということで、ちょうどプロ3年目、昨年優勝し、堂々賞金ランク3位に入った古閑美保が選ばれているのと比べてもあまりにもバランスが悪い。
ツアー界に詳しいある関係者がこんな裏話を教えてくれた。
「日本プロスポーツ協会としては、昔からPGAをプロゴルフ界の団体と認めてきてそれを踏襲しているわけですが、99年にJGTOがPGAから独立してからは、ツアー選手に関することは本来JGTOが主導権を握って行うべきもの。こういった賞の選考もJGTOに任せたほうが、ツアー界の実態に即した選考ができるはずです」
さらに、この選考にはPGAとJGTOの分裂以来の確執の影響もあるとし、「PGAが主催する新人戦の優勝者を日本プロスポーツ大賞の新人賞に推薦することで、JGTOに対抗しようとしているようにも見える」と続ける。
PGAでは「そういうつもりはまったくありません」(前出・事務局)と否定するが、たしかにそう思われても仕方のない選考結果といえなくもない。さて、そういったややこしい話は、この大塚泰三という選手には何ら関係ないのは言うまでもないこと。ちなみに、何を隠そう、あの今をときめく東北福祉大出身の24歳。さらに、新人戦で実際に優勝しているのだから、有望株であることには違いはない。今回の受賞がきっかけで、今シーズン思わぬところから推薦出場のお呼びがかかるきっかけになるかも。立派な賞に恥じないゴルフを見せてほしいものだ。
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