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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。 内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。 |
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週刊ゴルフダイジェスト 3/9号 |
2004年更新 |
日本ゴルフ振興のスポンサーが、筆頭債権者で
最有力のローンスターからGSに突如変更
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ほぼローンスターグループ(以下=LS)に決まりかけていた日本ゴルフ振興グループのスポンサーに、ゴールドマンサックス(以下=GS)が決まるというどんでん返しが起きた。
業界大手の日本ゴルフ振興が民事再生手続開始を申し立てたのは、1年前の2月18日。グループで3602億円という負債総額の大きさだけでなく、強面の整理回収機構(RCC)が「当社の再生機能を使う条件を満たしている」として共同申し立てに参加したことでも話題になった。その1年前のスポーツ振興の会社更生では、オーナー一族を排除する強い姿勢を見せていただけに、ソフトな対応に拍子抜けさせられたからだ。
申し立て直後からスポンサーの有力候補として、LSの名前が取り沙汰され始め、筆頭債権者であるRCCの協力的な姿勢とあいまって、スムーズにコトは運ぶかに見えた。
しかし、昨年8月8日の再生計画案の提出期限を、2カ月間延期したあたりから迷走が始まる。この計画案提出期限の延期は、多くのスポンサー候補が殺到、その選定にあたり、各候補が提示する条件の検証のための時間を必要としたことが原因だった。が、延期した提出期限の10月8日になると、さらに「ぎりぎりまでスポンサー候補と協議がしたい」という会社側の意向で、今年の1月30日まで延期されてしまう。
この段階で、会社側が債権者に提示していた再生計画案は、「九州・沖縄地区は福岡シティ銀行及び地元企業、四国地区は愛媛銀行と地元企業、それ以外はLSをスポンサーに」という“分社化案”だった。しかし、全28コースすべてを自社1社で、というLS側が、ついには会社側に不信感を抱くに至り、11月21日、債権者として会社更生手続開始の申し立てに踏み切る。
民事再生で再建中の会社に、債権者が更生法で対抗した例としてはSTTグループの前例があり、このときはLSに対抗してGSが更生法の申し立てをしているが、更生法は棄却、もともとの民事再生での手続きが生きた。
今回は逆に、昨年12月24日、更生手続きの開始決定が下り、民事再生は棄却された。そして、その更生手続きにおけるスポンサーが、2月17日、終始最有力候補だったLSではなく、一転GSに決まったわけだ。
この逆転劇の決め手については、法律管財人の木内道祥弁護士が「ノーコメント」ならGSも「管財人がノーコメントであれば取材には応じられない」。一方、敗れた格好のLSも「取材に応じられない」とのことなので、その逆転劇の真相は定かではないが、ゴルフ場業界関係者の間からは「木内弁護士とLSの対立が原因では」と見る声も出ている。
「管財人の木内弁護士は、当初の再生法時には監督委員だった。会社側の提案とLSの主張の溝が埋まらないことが更生法に移行した原因であると、木内弁護士自身も昨年コメントしている」(ゴルフ場業界関係者)。
しかし、よもや木内弁護士の個人的感情で決定したはずもなく、金額などスポンサーとしての条件面でGSがLSの条件を上回ったと見るのが妥当だろう。
現在、LSが39コース、GSが33コースと、国内のゴルフ場の“陣取り合戦”でがっぷり四つに組む両者だが、今回の日本ゴルフ振興28コースの逆転の効果は大きく、スポーツ振興、緑営など内定分を加えると、GSは100コースを超える計算になる。一方、内定済みのSTTグループを含めても約50コースにとどまるLSは、大きく水を空けられてしまうことになる。
はたしてここから先、LSに巻き返しの機会はあるのか。約3600億円ある負債のうち、預託金以外の1900億円が金融債務。そのほぼ半分を1年前にはRCCが握っていたが、それがLSに譲渡されているので、LSはまちがいなく筆頭債権者。従って、更生計画案に反対するという形で抵抗の余地がないわけではないだろうが、「それで突っ張り通せば破産になるので考えづらい。もし逆転を狙うとしたら、GSの計画案の妥当性をうち崩す主張ができれば、再逆転の可能性もゼロではないだろうが、一般的にはまず再逆転は無理」(ゴルフ場問題に詳しい熊谷信太郎弁護士)と言う。
ところで、日本ゴルフ振興の民事再生申請は昨年2月18日。その前日には、STTが民事再生。スポーツ振興もその前年の2月に会社更生を申し立てられている。そして今年の2月は大洋緑化が会社更生申請。2月は大手グループにとっては魔の月なのかも?
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