週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。
ツアー全体のアンブレラスポンサーだったイーヤマが下りて以来、資金難に喘いでいる日本ゴルフツアー機構(JGTO)。そのイーヤマの後釜候補は「今のところまったくメドが立たない状態」(JGTO渡辺一美専務理事)とあって、昨年から賞金の5パーセントをJGTOの活動費に入れるトップオフ制度を導入。さらに今年はシーズン終了後の年間表彰式についても、地味なものにして約3700万円の経費(表彰賞金も含む)を半分以下に抑える方針といい、アノ手コノ手で経費削減に努めているのが現状だ。 何とか試合数、賞金額は維持してきたものの、実は今年、2部ツアーであるチャレンジトーナメント(その年のランキング上位5名が翌年のシードを獲得)が存亡の危機にあった。最盛期には14試合あった同ツアーも昨年は11試合に。しかも、そのうち実に6試合が開催中止に。今年に入っても、わずか5試合しか日程が決まらず、日程発表が大幅に遅れていたのである。 「なんとか年間試合数は2ケタを確保しないと……ということでいろいろと模索していたところでしたので、助かりました」(渡辺専務理事)と話すように、外資のPGMが、現在国内に39カ所ある系列コースの中から5コースを無償で提供。“PGMシリーズ”という冠のもと、一気に5試合が決定、無事2ケタ確保となったというわけだ。 ただ、レギュラーツアーのスポンサーならともかく、チャレンジトーナメントでは、当然ながらテレビ中継もなく、PR効果も小さい。大会開催による直接的なイメージアップ効果も、さほど期待できそうにないが、PGMのジョセフ・レニハン社長は、開催の意義についてつぎのように語る。 「アメリカでは、ネーションワイドツアー(2部ツアー)が年間30試合、賞金総額15億円の規模で開催されています。そこで力をつけてレギュラーツアーに這い上がり、一流のプロが育ってきました。日本でも、チャレンジトーナメントをより強力にし、世界で活躍する選手を育てたいと以前から考えていました。また、チャレンジトーナメント以外にも、これまで同様、男女ツアーのクオリファイングトーナメント(QT)、LPGAプロテスト、JGAの予選会場として利用して頂く予定です」 ちなみに、大会名の末尾に「by JGTO」と付いている大会に関しては、賞金はJGTOが全額負担、それ以外の3試合はPGMが全額負担するという。ただし、この5試合に関しては、運営費をJGTOがすべて負担するため、スコアボード、ギャラリーロープなどもない、通常のQT同様、質素な大会になるそうだ。 ともあれ、JGTOにとってはまさに“渡りに船”。これを機に、ゴルフ場業界における買収合戦同様、大手外資2社がトーナメントスポンサーの座を競い合ってくれればこの上ない展開なのだろうが……。