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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。

週刊ゴルフダイジェスト 3/30号
2004年更新
聖球ボビー・ジョーンズの伝記映画製作中
オーガスタ、セントアンドリュースで撮影
 今、全米で最大の話題となっている映画は、メル・ギブソン監督の「パッション(邦題:キリストの受難)」。キリストの最後を描いた映画だが、反ユダヤ主義とか、暴力的とか、様々な批判を浴びながらも、興業成績では、ダントツのトップを突っ走っているのだ。しかし、米ゴルフ界には、この映画の成功を影で応援する人々がいる。

 というのも、この4~5月にも公開が予定されている映画「ボビー・ジョーンス:ストローク・オブ・ジーニアス」で、主人公のジョーンズ役を扮するのが、なんと「パッション」でキリスト役を演じるジム・カヴィーゼル。ゴルフ映画というと、いつも今ひとつヒットしないが、「パッション」人気にあやかろうというわけなのだ。

「救世主役からゴルフの救世主役に代わってしまった」とカヴィーゼルは語るが、このところちょっと元気のない、アメリカのゴルフ界。この映画を資金的に援助しているのがコブラの創業者のひとりであるトム・クロウ氏ということもあって、この映画をヒットさせて、ゴルフの人気を回復させようなんていう目論見もあるのかもしれない。

 なにしろこの映画は題名の通り、あの球聖ボビー・ジョーンズの半生記。1930年の年間グランドスラム(全米、全英オープンと全米、全英アマ)を達成させるまでを描いたのもので、「ジョーンズは、抱え切れないほどの重荷を背負っていた。家族の問題や、グランドスラム達成に対する物凄いプレッシャー、そして身体を蝕みはじめた病気……など、彼は弾けてしまう寸前だったんだよ」とカヴィーゼルが語るように、ジョーンズとゴルフを正面から捉えた正統派映画なのだ。そのため、他のゴルフ映画では、過去一度も許されなかった、オーガスタナショナルをはじめ、アトランタCC、セントアンドリュース・オールドコースなどでも撮影が行われているという。

 助演には、ジョーンズの伝記作家として知られるO・B・キーラー役で、マルコルム・マクドウェルが出演する。マクドウェルは、かつてはアルコールやコカイン中毒などのトラブルを抱えていたが、キューブリックの「時計仕掛けのオレンジ」の主演などで知られる渋い俳優。実際のゴルフの腕前は初心者のカヴィーゼルより、74のスコアを出したことのあるマクドウェルのほうが上だが、カヴィーゼルは「文字通り50万回は、ジョーンズのスウィングのテープを観た」そうで、「スクラッチプレーヤーになれる自信はある」とか。実際、撮影中に30メートルのパットを沈めたなんていう話もある上に、なんといっても「映画の『バガー・ヴァンスの伝説』のマット・デイモンの役を本当は狙っていたんだ」という気持ちが買われたのかもしれない。

 最近のゴルフ映画では、この「バガー・ヴァンスの伝説」(ロバート・レッドフォード製作・監督=2001年公開)の評価は高いものの人気は今ひとつだった。ケビン・コスナー主演の「ティン・カップ」(1996年公開)は、そこそこには興業成績があったようだが、評価はイマイチ。正統派の伝記ものとしては、ベン・ホーガンの半生を描いた「フォロー・ザ・サン」(1951年公開)が最高のゴルフ映画といわれているが、今回の『ストローク・オブ・ジーニアス』は、まさにそれに続くもの。それだけに、ゴルフ界の「救世主」になり得ると期待が膨らんでいるようだ。

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