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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。 内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。 |
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週刊ゴルフダイジェスト 3/30号 |
2004年更新 |
RCCがゴルフ場会社に対し、民事再生や
会社更生ではなく、初の破産申立てをした訳
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かつてはコワモテで鳴らし、数多くのゴルフ場の債権を持つ整理回収機構(RCC)も、このところ穏健路線に変わってきたとの声も聞かれる。そんな中、このたび、北海道のゴルフ場経営会社に対し、初の破産の申立を行い、波紋を呼んでいる。
平成11年に、住宅金融債権管理機構から現在の整理回収機構に衣替えして早くも5年。平成13年から14年にかけては、大宝塚GC、スポーツ振興、石岡GCなど、合計7社に対し次々と会社更生の申立を行い、強行路線が目立った。しかしRCC内に再生部が出来て以降、昨年2月には日本ゴルフ振興の民事再生、今年2月の大洋緑化の会社更生では経営会社とともに共同申立の形を取っているし、信和ゴルフには法的手続きも取らず、債権放棄を行うなど、穏健、再建重視路線が目立っていた。
そんな中で、破産、それもRCCが債権者としてゴルフ場経営会社に対して申立をするのは今回が初。強硬路線が目立った時期ですら、破産ではなく会社更生だったのに、なぜ今、破産なのか。RCCは、4年前にEIEの破産申立をしているが、同社ははゴルフ場会社の親会社という顔も持っていたが、海外の高級ホテル経営や、不動産会社としてのウェイトが高かったこともあり、ゴルフ場経営会社としては事実上今回が初といえる。
今回、破産の申立を受けたのは、厚岸GC(北海道)の旧経営会社である(株)厚岸ゴルフクラブ。約30億円の負債のうち、預託金が20億円。額面は200万~500万円程度で、1000人ほど会員がいる。平成元年の開場当時は、コースの土地は親会社のタクサン(株)、クラブハウスは(株)厚岸GC所有で、預託金はタクサンが預かっていた。
しかし、平成4年にタクサンが(株)厚岸GCに土地の所有権も渡し、コース施設は完全に(株)厚岸GCのものになった。ただ、「多額の所有権移転登記費用がかかるので、登記上は土地の所有名義はタクサンのままになっている」(RCC広報)
また、土地の買い取り代金を(株)厚岸GCがキャッシュで支払うのではなく、タクサンの預託金債務を肩代わりする形をとった。平成14年に(有)厚岸GCを設立して運営を委託したので、それ以降は事実上休眠状態。つまり、収入はないが、(株)厚岸GCがコース施設を保有、預託金債務も負った形になっている。
さて、それではなぜ民事再生でも会社更生でもなく、法的にはプレー権がなくなってしまう破産を選んだのか? RCCは「(有)厚岸GCに運営委託しているので、(株)厚岸GCには収入がない。収入がないので(株)厚岸GCの再生では再建計画が描けない」(同)ためだという。施設に付いている担保も、親会社タクサンの債務に関するものばかりなので、親会社と一緒に破産の申立をし、両社は清算、単純な施設の売却の形をとった上で、会員のプレー権は、売却先で保証してもらうほうがすっきりする、ということになったようだ。
RCC側は「我々としては、プレー権の保護はお願いしているが、認めるかどうかは破産管財人次第」とし、発言は慎重。だが、預託金さえ付いて来なければ、集客の問題上、新経営会社にとっても会員はむしろ付いて来たほうが望ましい。同GCは昨年11月から冬季クローズ期間に入っているが、すでに譲渡先も決まっており、4月のオープンには間に合う模様。北海道拓殖銀行から債権を引き継ぎ、他の債権者をとりまとめたRCCは、「ゴルフ場の存続のための手続き上の理由で破産を選んだ」ことを強調する。
また、(株)厚岸GC自らの申立ではなく、RCCの申立になったのは、「(株)厚岸GCから処理について全面的に一任を受けた」(RCC広報)ためだと言う。
最近のRCCの処理は、一時の強硬路線から多少穏健路線に変更されたかとも思われたが、実際は、個々コース経営会社の事情次第で対応を決めており、基本的には「今後も個別対応の方針を続ける」そうだ。
RCCは、買い取った債権の単純転売も開始、一部に「右から左に外資に売り飛ばすのでは」との声もあるが、「理論上はあり得るが、現実に経営しているゴルフ場は再建の余地がある場合がほとんど。再建したほうが回収額も上がる」ので、よほど少額でもないかぎり、単純転売の対象になる可能性は低い。
何をされるかわからない“コワモテRCC”は昔話になりつつあるのかもしれない。
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