週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。
「大会前から“最終回”を謳うトーナメントは、間違いなく初めてでしょう。スポンサー企業のイベントからの撤退には、どうしてもマイナスイメージが付きまとうから、それをわざわざ表に出すことはないですからね」と長年この業界に携わる関係者は驚きを隠さない。 日本女子プロゴルフ協会は、「スポンサーの業績を誤解されないための事前告知と聞いております」(事務局)と、まさにその点に言及したうえで、初めてのことでちょっとビックリしたと感想を語る。 実際、なぜわざわざフィナーレを謳うことにしたのだろう。主催スポンサーの再春館製薬に聞いた。まず撤退の理由について、「当初の目的でした当社の全国的知名度を上げることと、地元熊本県のゴルフ振興のお手伝いは、5~6年目(今年第13回)には一応達成できたと考えておりました」(大会事務局) その効果を、今年7月の社長交代を機に社内体制を一新するのに合わせ、一旦撤退して見直すことにした結果と説明する。そして、実は昨年の大会前夜祭の席上で、勇退する現社長が「来年が最後」と発表。また、会場でもボランティアスタッフはじめ多くの関係者に「来年が最後です。お世話になりました」と挨拶していたそうだ。 「ですから、何も隠す必要はないでしょう。ならば、社長交代の広報も兼ね、また最終回をアピールすることで集客アップも図れるという判断から、こうして謳うことにしたわけです」と広告代理店・電通の担当者。 しかし、一方で戸惑いもある。というのも、同社がスポンサーから去っても、大会自体がなくなるわけではないからだ。 「まだ未定ですが、共催の熊本県民テレビさんをはじめ、関係者の皆さんと存続に向けて努力しているところです」(電通) にもかかわらず「最終回」が一人歩きすると「大会消滅」の誤解を招きかねない。実は再春館の大会事務局側も「コストの問題もありますし“最終回”を謳った表示は限られたものになると思います」と、さほど“最後”ということで盛り上げるわけではなさそうだ。 また、テレビ中継番組も「再春館さんへのこれまでの感謝の意は放送の中で伝えますが、大会の中継はそれとは別に、これまで同様、視聴者の皆さんに競技の中身を楽しんでもらえるように努めます」(熊本県民テレビ) 「最終回」に込めた主催者側の主旨は主旨として、今後も存続するであろうトーナメントとは分けて見なければならない。熊本といえば、平瀬真由美、高村亜紀に始まり、不動裕理をはじめとする清元門下生の台頭と女子ゴルフ界をリードするゴルフ先進地域。ジュニアゴルフも盛んである。その土台には、ジュニアを招待するなど、この大会が果たした役割も小さくない。「火の国オープン」の火が消えることのないように願いたい。