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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。

週刊ゴルフダイジェスト 4/13号
2004年更新
和議後、匿名組合方式採用の成田ハイツリー
株主会員制ゴルフ場では“初”の利益配当
 親会社の倒産のあおりで和議申請、株主会員制に移行したゴルフクラブ成田ハイツリー(千葉)の経営会社・(株)成田ハイツリーが、再建から3期目で黒字転換。ゴルフ場としては初の株主会員への配当にこぎつけ、移行時の公約を果たした。

 同社が親会社・高木工業の会社更生法申請を受け、和議申請したのは平成10年6月。預託金の9割カットで翌年7月にすんなり和議認可を受けたものの、コースが高木工業名義だったので、親会社の更生計画にプレー権が左右される状況だった。

 それを打開するウルトラCが『匿名組合方式の株主会員制』だった。まず、同コースに70億円の担保を設定していた千葉県信用農業組合連合会の子会社の千葉中央サービスが、代物弁済の形で(株)成田ハイツリーの全株を取得、千葉中央サービスの子会社、メイプルヒルズがコースの土地建物を取得した。

 さらに、会員から額面に関係なく一口250万円を(株)成田ハイツリーに出資してもらい、その出資金でメイプルヒルズからコースの土地建物を買い取った。出資にあたって、各会員は(株)成田ハイツリーとの間で、利益の配分方法や出資者である会員が経営判断に関与できる範囲などを盛り込んだ『匿名組合契約』を結んだ。これはいわゆる組合組織とは違い、各出資者が全員全く同じ条件で契約を結ぶためそう呼んでいる。

 和議条件は、預託金の9割カットで、残り1割を退会申し出時点から2年据置き後10年分割払い。残り1割の70パーセントまで出資金に振り替えることも認め、例えばもっとも会員のが多かった1100万円額面の会員なら、和議で残った110万円の返還請求権の7割、つまり77万円を出資金に充当できるので、新規払い込み額は173万円である。一次募集を終えた平成13年9月末時点で出資者は670名、集まった出資金17億円弱をメイプルヒルズに支払い、現在ではコースの土地建物は(株)成田ハイツリー名義になっている。

 また、匿名組合出資会員には、同時に5万円を拠出してもらい、(株)成田ハイツリーの株式も千葉中央サービスから取得する計画で、こちらも集まった3350万円で(株)成田ハイツリーの3分の1の株を出資会員が買い取った。100パーセント取得できるまでにはまだ時間がかかりそうなので、正確には完全株主会員制とは言えないが、和議申請時点で1403名いた会員のうち、退会者などを除外すると、現在では出資会員は719名に。

 その後、平成14年12月期は入場者数が2万2000人で赤字だったが、翌年は2万5500人に。926万円の当期利益を確保できたので、匿名組合契約通り、出資会員には1割の92万円、ひとりあたり1297円の配当が実施されたということである。このうち47円は出資してもらい、残りは年間18万円の年会費の一部に充当する。

 配当実施の公約を果たせた秘訣について、同社の田口義丸・取締役総支配人は「プレー環境維持のためインターネット料金などの割引もせず、会員同伴以外のビジターも受け入れないなど、我慢の経営を続ける中、本当に会員が集客に協力してくれたことに尽きる」と語る。

 すべての決定事項は理事会で決議され、「会員の経営に対する意識、関心は極めて高い」(同)という成田ハイツリー。もともとの預託金額からすると、1297円という配当は、すずめの涙にもならない金額だが、「過去、株主会員制のコースで会員に配当を実施した例はない」(日本ゴルフ場経営総合研究所専務理事・降旗貞夫氏)と言うように、配当があったという事実が重要だろう。そして、これが株主会員制の成功例となるかどうかは今後も利益計上と配当を継続できるかどうかにかかっているのは言うまでもない。

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