週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。
同大会は1975年に始まったPGA主催の公式戦。大会名に「日本」が冠せられた「オープン」「プロ」「シリーズ」と合わせ、日本の「メジャー競技」と呼ばれるようになった。同時にマッチプレーはゴルフ競技の原初の姿であり、かつての日本プロ、そして日本アマの決勝は今日もこの形式で実施されているが、この競技方式自体への関心、また2度の2連覇で、“マッチプレーの鬼”と呼ばれた青木功の試合巧者ぶり、さらには、高橋勝成が延長ホールで尾崎将司を下した、球史に残る名勝負(87年)などもあり、ファンの関心も高い大会だった。 しかし、94年から冠スポンサーだったプロミスが、01年を最後に撤退してからはスポンサーなしの状態に。賞金総額8000万円に加え、2億円とも3億円とも言われる運営経費は、電通とテレビ中継局のテレビ朝日が負担していた。が、それも昨年が最後。大会継続には、新たな冠スポンサーの出現が欠かせなかったのである。 先週、29日の中止発表の席上、PGA広報担当の松井功プロは「これまでスポンサー探しは、ほとんど電通さん任せでした。PGAの理事も、昨年からは個別に営業してきましたが、テレビ局への影響を考えると、結論を出すギリギリの段階に来たので、とりあえず今年は開催を断念することになりました」と苦渋に満ちた表情で語った。 電通、テレビ朝日もそれぞれ、「力及ばす中止になって、とても残念です。国内ツアーで唯一のマッチプレーがなくなるのはゴルフ界にとってもマイナス。必ず復活させたいですね」(電通トーナメント事務局) 「歴史ある大会なので非常に残念です。ただし、あくまで一旦中止と聞いていますので……」(テレビ朝日プロデューサー・斉藤保志氏)と無念の弁。 また、大会運営のある関係者は「マッチプレーという競技自体は、ひとホールひとホールが勝負だし、1発のスーパーショットが流れを変えることがあり、意外性にも溢れているから放送コンテンツとしては魅力的」と、大会の面白さを強調するものの、残念なことに、以前の青木やジャンボのような、土壇場でスーパーショットを放つような選手が少なくなったという声も聞かれた。 そして、最近そうしたプレーを見せるのが、専ら外国人選手で、彼らが勝ち上がるケースが増えたために、一般の関心が小さくなったのでは、とも語る。しかも、通常のストロークプレー方式の試合と違い、最終日の中継に残るのは、決勝と3位決定戦の4人のみ。そこに人気選手が、残らなければ盛り上がりに欠けることも否めない。 実際、過去3年間、01年がD・ウィルソン vs 林根基、03年がT・ハミルトン vs D・スメイルと、外国人選手同士の決勝が2度もあった。つまり、この大会を窮地に追い込んだのは、マッチプレーで魅せられる日本人選手が少なくなったということかもしれない。 ところで、今後についてだが、前出の松井プロは「秋までにはスポンサーを見つけ、来年には復活させたいというのがPGAの理事全員の意向です。今後は理事が個別に動くのではなく、事業部が組織でオープンセールスしていきます」と決意を語る。 大会の早期復活のためにも、選手側にはかつての大会の熱気を取り戻せるようなプレーを、ふだんのトーナメントでも見せてほしいものだ。