週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。

　現時点では、中部ゴルフ連盟（CGA）と関西ゴルフ連盟（KGU）の2団体が、昨年規約を改正し、いわゆる倒産したコースや経営者が変わったコースに対し、裁判所が再建案を認可するまで、一時退会扱いとし、再加入が承認されるまでの間、連盟主催の競技に出場することができなくなったのである。

　CGAの規約改正（追加）は以下の通り。

「会社更生、和議、破産等法的措置を行い、または営業権の譲渡を行い、実質的な経営母体に変更があった倶楽部は一時退会となる。しかし、再建案が決まり、再加入申請することが認められた場合、その際の加盟金は免除される」（※ その後、加盟金の免除はなくなった）

　KGUは「加盟倶楽部について、会社更生、民事再生、破産等の申立があったとき、または、実質的に経営母体に変更があった場合には、一時退会となる。ただし、再建案が認可されたら倶楽部は加盟継続申入書を提出でき、理事会で承認されたらその日から退会は解除される。また、加盟継続が承認されない場合や、期限内に申入書を提出しない場合、当該倶楽部は退会したものとする」という内容だ。

　東北ゴルフ連盟でも2月17日に“会員資格の喪失”に関して「加盟倶楽部の経営母体が破産の宣告を受けた場合」という規約が盛り込まれたが、全国の地区連盟で会社更生も盛り込んだのはCGAとKGU、さらには民事再生が加えられたのはKGUと、KGUが一番厳しい規約改正となっているのだ。

　これらの規約は、CGAは昨年の5月26日から、KGUは10月6日から効力を発し、CGA傘下では5コース、KGUでは13コースに一時退会という処分が下され、そのコースに所属する会員が連盟主催の競技に出場できなくなったのである。

　KGUの一時退会13コースのひとつの会員で、昨年の関西アマで初日トップに立ち話題となった、元祖・甲子園アイドルであり元プロ野球選手の太田幸司さんはこう怒る。

「まったくの悪法ですよ。会員に何の責任もないのに、コースの経営がおかしくなって、預託金がカットされたうえに、公式競技に出場する権利も奪うというんですから。私の周りの仲間たちも怒ってますよ。ただ、私は他のコースの会員でもあるので、そっちのコースから競技に出ますが、他にコースを持ってない人は、競技に出場する楽しみを奪われるわけで、まさに泣きっ面に蜂。なぜ昨年の10月から変更になったのか。それ以前に倒産したコースは何のお咎めなしですからね。納得できません」

　この不平等だという不満についてKGUでは、「会員保護の観点からいえば問題もたしかにあります。ただ、当連盟下で法的措置が必要となった倶楽部が、年間で加盟倶楽部の1割以上（約20倶楽部強）にも上る事態となった現状を見過ごすわけにはいかない、ということなのです。新たに連盟に加盟するに当たり、どのような経営母体なのかを連盟が把握するために審査しなければなりません。どこかで線引きする必要があり、それがこの時期になったのです」（三谷賀一・KGU事務局長）

　こういった規約改正に対して対象コース、会員の反応は、CGAでは「何回か問い合わせがあっただけです」と言うが、KGUでは、3コースの研修会加盟の会員が主体となり、嘆願書や抗議書を連盟に提出する騒ぎとなっている。いずれも却下されたが、この3コースは全国に28コースを擁した日本ゴルフ振興系であり、同じ系列のコースなのに、加盟する連盟が違うため処遇も違うというのはおかしい、という意識が強く反発する背景にあるようだ。

　各地区連盟主催の競技に出られないということは、当然所属する連盟によって日本アマのような全国的なアマ競技への道が閉ざされことになる。同じ系列のコースであれば、その不平等さをより感じることになる。

　そこで、規約改正は個々の地区連盟が決めるのではなく、各地区連盟を統括する日本ゴルフ協会（JGA）が方針を出すべきだ、との声が連盟関係者からも出ているのである。

　しかし、「各ゴルフ連盟に加盟するゴルフ場の入会規約に関しては、各地区連盟によって異なりますし、JGAとしてはそれを尊重する立場にあります。将来的に規約を一本化する可能性がまったくないとは言えませんが、難しいと思います」（JGA・塩田良事務局長）

　まだまだ経営破綻するコースが増えそうな現状からすると、中部、関西では、不平等な事態が続くことになりそうだが……。