週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。
男子ツアー同様、女子でも昨年からQT制度が発足。プロテストとは別にQTというツアー予選会を行い、その成績上位者はプロテスト合格者でなくてもツアー選手として登録されることになった。 その制度改革の一環として、ツアー競技優勝者には、以降1年間のシード権を与えるという規定が盛り込まれ、宮里藍もその資格で今季をスタートさせた。しかし、昨年の優勝の時点ではLPGA内部に「ファイナル(プロテスト最終競技会)免除」の声はまったくなかった。宮里のプロテスト受験は当然とされていたのだ。 ところが、今季初戦でツアー2勝目を飾る。 「それでも協会内部には『実力は認めるが、プロテストという一発勝負を経験してもらうべき』という意見がありました。でも『それでは世間に通用しない』という意見が大勢になりました」と同協会の関係者は語る。 さらには「プロテスト受験を予定している選手の間からは、『藍ちゃんが受験するんじゃ、合格枠(20位タイまで)が実質1つ減っちゃう』なんてボヤキが聞かれたくらい、彼女の実力は誰もが認めるところでした」と内輪話を明かす。 男子の日本プロゴルフ協会(PGA)では、昨年7月の理事会で「賞金シード選手でPGA会員でない者に対し、入会を希望する場合には、プロテスト(実技審査)を免除」する規定を決定。その結果、昨年は資格のあった矢野東が申請。12月に行われた「入会セミナー」を受講し、プロテスト免除の初の男子プロとなった。ちなみに、宮里藍の兄・優作も有資格者だったが、「入会セミナー」が米ツアーQスクールの最終予選の日程と重なり、見送っている。 今年の入会セミナーは「12月中旬に開催を予定」(PGA事務局)だそうで、今年も賞金シードを確保すれば、晴れてPGA認定のプロになれる。 一方、LPGAの場合、今回はあくまで特例措置で、規定が設けられたのではない。 「どういう形になるか分かりませんが、免除規定を協議することになると思います」(高須皓友トーナメント部門エグゼクティブディレクター)とし、今後の制度改革をにおわせる。 ちなみに今回、宮里のように最終プロテストの実技免除ではないものの、3月のステップアップツアーで優勝した上原彩子は、今年のプロテスト2次予選会が免除となるが、これは規定に則ったものである。 他には、宮里のように、アマチュアがツアー優勝した場合、4週間以内にプロ転向を宣言すれば、その後1年間のシード権を認める制度。これも、男子ツアーが2年間有効としているのに比べ短すぎるという。 「ですから藍ちゃんのツアー優勝が昨年9月でLPGAは大助かりだったんですよ」(競技運営会社スタッフ) 昨年、宮里は春先から主催者推薦等でツアーに出ていた。もし、彼女の優勝が夏前だったら……「アマチュアとしての最後の大会、9月の日本女子オープンまでプロ転向しなかったかもしれませんよ」と推測する。 例えば、6月に出たサントリーレディスで勝ったとしても、4週間以内にプロ転向を宣言したとは限らず、だとすると彼女のプロ転向はなかったのかも。とすれば、藍ちゃんは未だにアマチュアで、昨秋以降の女子プロ人気もなかったのかも……。ともかく、QT制度にはまだまだ改善の余地があることは間違いなさそうだ。