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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。

週刊ゴルフダイジェスト 5/11・18号
2004年更新
宮里藍に続け! 不動相手に優勝争い演じた
18歳スーパーアマ、横峯さくらの素顔に迫る
 藍ちゃん効果で女子ツアー界が活気づいているが、もうひとり新たなスター候補が現れた。横峯さくら、18歳。宮里藍とはジュニア時代からライバル関係で、一足先にプロになった藍ちゃんを追って今年、自身もプロ入りを目指す。

 横峯は今季女子ツアー2戦目の再春館レディースで不動裕理とのプレーオフで優勝を争い惜しくも敗れたものの、その爽やかなキャラクターと健気なプレーぶりで、優勝した不動裕理にも増して話題となった。その横峯さくらと、今回キャディを務めた父親の良郎さんに、試合を振り返ってもらうとともに今後の展望を聞いた。

 プレーオフは不動、横峯とコウ・ウスンの3人で行われ、1ホール目でコウが脱落、不動と横峯の争いに。

------不動裕理という名前を意識した?

さくら「それは無かったです」

------緊張はしてなかった?

さくら「プレーオフが決まったときに『ワッ、本当にプレーオフになった、あー緊張するぅ』って言ったら、父が……」

父「じゃあ、オマエ辞退するかって言ったんですよ」

さくら「で、私が馬鹿じゃないの? って父に言い返して、それから、もう絶対に勝つぞぉ、みたいな」

------じゃあ緊張しなかった?

さくら「緊張というより、アドレナリンが出ちゃうって感じですかね。だから、プレーオフのティグラウンドに立ったときも、緊張はしてなくて、アレッ? こんなものなのかなって」

 プレーオフ2ホール目、パー5で不動は2打目を7番アイアンでバンカーに入れ、横峯は8番アイアンでグリーン左に2オン。不動はこの横峯のショットを見て「まさか、あそこにボールが止まるとは思わなかった」と試合後の記者会見で驚きを見せた。一方、不動のバンカーショットを見ていた横峯は「絶対に寄せるだろうな」と思っていた。予想通り不動はバンカーから2メートルに寄せ、これを入れてバーディ。横峯は3打目の上りのロングパットを1メートル弱に寄せ、同じくバーディを決めて3ホール目へと進むはずだった。

------あのパットのラインは?

さくら「ちょっとスライスでやや下りでした」

父「打つ前にさくらに『左いっぱいに真っ直ぐ打つか、弱く回して入れるのか』って聞いたら『左から弱く回す』って言ったから、ああそれでいけって言ったんですよ。そうしたらコツンといって」

さくら「距離を合わせていこうと思ったら、パンチが入っちゃって。打った瞬間アッ、強いって思ったら左に抜けて……」

父「だからもっと緊張したほうがよかったんですよ。緊張すればもっと時間をかけて、おかしいと思ったらアドレスを外したりするでしょう。アレを見ていた人から『何でもっと時間を掛けなかったんだ』って言われましたよ」

 プレーオフに負け、横峯さくらはグリーンの横で母・絹子さんと抱き合って泣いた(本誌先週号グラビアで既報)。このシーンに「あんなふうに試合に負けて悔し涙を流すプロが今、何人いるんだろう」という声も上がった。

------試合で泣いたのは?

さくら「泣かないって思ったんだけれど、お母さんの顔を見たら涙が出ちゃって……。あれは悔し涙。今までの試合で一番悔しかったですから。」

------じゃあ、その日の夜は寝られなかった?

さくら「眠れました(笑)。悔しかったのは試合後の1時間くらいまで。後は、もう終わってしまったことだから仕方ないって前向きに考えていました」

------プレーオフを戦って、不動裕理という人をどう感じた?

さくら「プレー中は表情ひとつ変えないで淡々と目の前の一打をこなす。やっぱりさすがだな、って思いました」

------今回のお父さんのキャディぶりはどうだった?

さくら「最終日は優しかったです、ハイ。気を遣ってくれているのが分かったし、トラブルになったときも前向きに考えてくれました」 

------ラウンド中、よく喧嘩しながらやっているとか。

さくら「うーん、喧嘩というか……」

父「たとえばね、試合前の練習で、次のコースはこういうショットが必要になるから練習しとけって私が言うんだけれど。さくらは鹿児島の言葉で言う『テゲテゲ』なんですわ」

------テゲテゲ?

さくら「適当っていう意味です」

父「だから、私が『それみたことか、オマエできんじゃないか、アホか』って言うんです」

------アホかと言われて?

さくら「あー、ウザイ(笑)」

父「ずっとコイツのゴルフを見てきていますからね、わかるんですよ。良い所も悪い所も」

------今後もお父さんがキャディをする予定?

父「担ぎます!」(が、さくらは隣で首を横に振る)。

------今回の出来は何点?

さくら「50点ですね。初日はアイアンからドライバーまで全部飛びすぎて、それで2日目にそれを修正しようとしてドライバーが右にフケ球が出るようになっちゃって。3日目にようやく安定しだしましたけれど」

父「会場のドライビングレンジではさくらはドライバーで打つとネットを超えてしまう。そこで、右打席から左に対角線に打つように言われたんです。これがいけなかった。あのコースはドライバーはフック系でもいいんですがアイアンはあの硬いグリーンを攻めるには高いフェードしかない。でもさくらはアイアンでも変なクセがついて、左へ飛ぶ打ち方になっていた。その修正ができたのが、3日目だったんです」

------じゃあ、お父さんとしては何点?

父「うーん、60点」

------娘さんより10点多いですね。

父「アプローチが良かったから」

さくら「パットでしょ」

父「いや、寄せよ。あんな寄せできんよ。練習もしたから、今回は」

------プレー中、今みたいに意見が違ったときどうする?

さくら「やっぱり自分の感覚の方を重視します」

------あの中尺パターはいつから使っているの?

さくら「去年の3月くらいから。きっかけはアジア大会で1メートルくらいの短いパットが全然入らなくて、お父さんに中尺を使ってみろと言われてから」

------抵抗感は?

さくら「全然、ありません」

父「使い始めてジュニアの試合で4勝したんですよ。だからずっと使い続けているんです」

------自分のオーバースウィングは気にならない?

さくら「全然、気にならないです」

------今後の予定は?

さくら「8月にプロテストを受けます。でも、その前に推薦でツアーに4試合出られるので、それで優勝できれば理想的です。QTを受けなくていいから」

------推薦4試合の予定は。

父「ニチレイ、中京テレビ、リゾートトラスト、サントリーですね」

------あなたにとってプロになるとは?

さくら「賞金を稼ぐということ。仕事ですね」

------今後の課題は?

さくら「どんな試合でも普段通りのプレーができるようにしないといけないと思います。アマの試合とはやっぱり雰囲気も違うしギャラリーも多いので、さっき言ったようにアドレナリンが出るのかショットに安定感が出ないことがある。そういう意味でも不動さんのプレーはすごかった」

父「技術的にもまだまだですが、慣れも大事ですよね。アマチュアの試合は1回きりって感じが強いけれど、プロのツアーは同じコースの繰り返しでデータが蓄積されるから」

------お父さんから望むことは?

父「人間的にもっと成長して、いろいろなことにさらに真剣に取り組んでいって欲しいですね。まだまだ子供ですから」

------将来の夢は?

さくら「うーん、アメリカツアーです!」

*


 取材を終えて東京・上野の街を歩いていると、親子に二人組の背広の中年男性が「頑張ってね。応援しているからさ」と声をかけてきた。「スゴイ励みになりますね」と横峯さくらは嬉しそうに話した。“さくら人気”が一気に満開になる予感。横峯の今季ツアー2戦目は5月6日からのニチレイレディス。宮里藍との組み合わせも用意しているというから楽しみだ。

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