週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。
富裕層が多いと言われるゴルファーを狙った広告の多さは、今さら言うまでもない。ゴルフ場に近くの道沿いには、たくさんの立て看板等を目にする。だが、ゴルフ場内に一歩入ると様相は一変。ハウス内でこそポスターなどの広告は見かけるが、コースはまさに聖域。場内、広告スペースに事欠かないのに、ティ脇に企画看板(例:ホールインワン賞)が申し訳なさそうに立つ程度だった。しかし、これからはひょんなところで広告に遭遇するかもしれない。 そのひとつはスコアカードの裏面。すでに配付されており、船橋CCや立川国際CCなど関東の44コースで今月いっぱい、裏面に会員制インターネット囲碁サロン「パンダネット」の広告が入ったカードを手にすることができる。 グリーンコミュニケーションという会社が企画・運営しているもので、関東以外でも西日本の35コースと契約。広告主が指定する範囲(関東の場合、全44コース一括、もしくは22コースずつ分けた2グループのいずれかを選択)と期間(3カ月以上)、広告の入ったスコアカードを1コースにつき月3500枚の割合で納入される。無論、ゴルフ場の負担はゼロで、その分の経費が浮くことになる。 「ゴルフ場はどこもコスト削減に苦しんでいる現状から浮かんだ企画です」(同社担当・松岡忠史氏) そこで、同社ではデザイン共通のスコアカードに広告を募り、ゴルフ場に配付することを考案。今年初め、先の広告主を得て事業化することができた。 「2万人いる会員の7割強が50歳以上なんです。そのため、広告媒体は限られており、新たに有効な媒体を探していました。それで、囲碁ファンにゴルファーが多いということでお願いしました」(パンダネット) 実はこのカード、日本プロゴルフ協会にロイヤルティを支払っており、名称を「PGAスコアカード」という。 「ゴルフ場からの反響はありますが、現在はテストを兼ねての運用。今後、利用者の声を参考に改善したうえで、いずれ本格営業します」(松岡氏) もうひとつは、現在までに全国の約100コースが登録。あとは、広告主との詰めの交渉に入っている段階の媒体。その媒体とは、ゴルフ場備え付けのボールマーカー。下にピンの付いたプラスチック製のマーカーである。 「ゴルフ場のコスト削減ももう限界です。これ以上、コスト削減を図るには、併せて収入も期待できるタイアップしかないでしょう」と語るのは、このマーカー広告を考案(実用新案出願中)したゴルフクリエイティブセンターの福留龍彦社長。 「備え付けのマーカーは1個2~3円程度で、ゴルフ場では年間30万円前後の経費になっていると思います」 同マーカーが納入されれば、経費削減になる上、各ゴルフ場には月に数万円のロイヤルティが支払われる、まさに一石二鳥の広告だ。基本的に広告主が配付先コースを個別に指定。月1万2000個納品される。 「マーカーは使い捨てではなく、案外長く持ち歩くので、広告効果も高いと思います」とアピールする福留社長によれば、企業側の反応は良く、近々契約がまとまる見通しという。 同社では、ゴルフ場備品の更なる広告媒体化も進めているという。ちなみに、そのひとつが風呂場の脱衣所に備え付けられているポリ袋だそうだ。 この他にも、例えば下館GC(茨城県)では乗用カートの前面に、同GC系列の自動車ディーラーがパネルの広告を出し、年間経費のかなりを補填している。また、ツアー競技で設置されるティの脇の低い看板と同形式の看板の事業化に乗り出した代理店もあるようだ。 「昔と違い、多くのゴルフ場がセルフのカジュアルな運営になってきたから、受け入れられる企画です。やはり名門コースや格を重んじるゴルフ場ではできません」(福留社長) さて、この先どんな所に新たな広告が登場するのだろうか。