週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。
その親子は、フィリップ(ピップ)とジェーミー・エルソン。父親のピップは、1973年に欧州ツアーで新人賞に輝いた選手。結局、10年ほどツアーに出たが、1勝もできずに引退していた。それが昨年、息子のジェーミーが、チャレンジツアーで活躍し、今年、レギュラーツアーのシードを獲得したこともあって、一念発起して、先の4月末に50歳なったことから、先のフランスシニアオープンから、新人として参戦したのだ。この試合では「20年以上もプロのレベルでプレーしたことがなかった」割には33位タイ。翌週のイタリアでも、55位タイとまずまずのスタートを切っている。 父ピップは「昨年、彼はすごいゴルフをしていた。チャレンジツアーだけど、最初の3試合だけで57アンダーだからね」と語るが、22歳の息子、ジェーミーは、今年はツアーのレベルに戸惑い、現時点(6月初旬)では、賞金ランク143位という状況だった。それにハッパをかけるためもあって、父親も7月以降に予定していたシニアデビューの時期を早めたとも言えそうだ。 ジェーミーは01年、アマ時代、ウォーカーカップで、イギリス・アイルランドチームを勝利に導いた選手のひとりで、昨年チャレンジツアーで1勝、トップ10入り6回を果たしてレギュラーツアーのシードを獲得している。それだけに、親の欲目かもしれないが、ピップにすれば、その才能を自分以上に信じており、現在の不調をさほど心配していないようだ。 「旅行や食べ物、文化の違い、そしてコースコンディションの違いなど、学ばなければならないことがジェーミーにはたくさんある」ということで、そのために時間が必要だという。とはいえ、父親が頑張れば、息子のほうも気を緩めるわけにはいかない、という親心があるのかもしれない。 一方、大西洋を隔てたアメリカでも、今年ともに新人になりそうな大型親子がいる。父親が先に新人デビューしたジェイ・ハース親子だ。父親は昨年末に50歳を迎えているが、まだ現役バリバリで、今年のライダーカップ出場を目標にレギュラーツアーで頑張っているが、ついに先の全米シニアプロで2位になり、シニアデビュー。レギュラーツアーでも、今年11試合に参戦、トップ10入り4回と衰えを感じさせないが、それでもシニアの新人であることには違いない。 一方、22歳のビル・ハースのほうは、最優秀学生ゴルファーに贈られるべンホーガン賞を獲得したばかりの大学4年生。父親のジェイをはじめC・ストレンジやS・ホークらが卒業したゴルフの名門、ウェイクフォレスト大学で、学生選手権10勝という記録を作り、今年の卒業、プロ入りが予想されている。 プロテストを受けてのプロ入りなら、来年が新人年ということになり、父親とはデビュー年が1年ずれることになるが、96年のT・ウッズのように、今年、招待出場でプロの試合で優勝することも十分に考えられる大型選手だけに、ひょっとして父親と2人で新人賞を獲得する可能性もなくはない。 結果はどうあれ、ゴルファーの夢のひとつは、子供とハンディなしでプレーすることだろう。そうした意味では、ジェーミー・エルソンもビル・ハースも、親の夢を叶えた孝行息子といえるのかも?