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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。

週刊ゴルフダイジェスト 6/29号
2004年更新
ビデオ撮影したスウィングをメールで送り
診断してもらう、米国での最新レッスン事情
 「ディスタンスラーニング」という言葉を知っているだろうか? 聞きなれない言葉だが、直訳すれば「距離学習」。というと飛距離を伸ばすためのレッスンと思う人がほとんどだろうが、実はこれ、インターネットを通じた、離れた場所、距離のある場所でのゴルフレッスンを指す言葉で、これがアメリカのゴルフ界では、近頃度々耳にするようになっている。

 このディスタンスラーニングの走りは、LPGAのK・ウェブかもしれない。彼女のコーチで、ケルビン・へーラーという人物が、オーストラリアにいて、老齢などの理由から、アメリカでプレーをするウェブのスウィングを見ることができなかったのだ。そのため、ウェブは、練習日など練習場にビデオを持ち込んで、それを毎日Eメールでコーチに送り、スウィング調整を行っていたのだ。

「ショットの球筋については電話で説明しなければならないけれど、それ以外の身体の動きなどについては、コーチがアメリカにいなくても問題ない」と当時のウェッブは語っていたが、90年代からこのシステムを導入しているウェブは、その頃ソレンスタムと並んで、米女子ツアーの花形プレーヤー。つまり、インターネットを通じてのレッスンでも、十分に機能することが、証明されていたといえる。

 その後、ブロードバンド・インターネットの普及やデジタルビデオの進歩、そしてビデオによるゴルフレッスンの改良など、様々な要素が重なり合って、ここに来て、このディスタンスラーニングが、急速に普及し始めているのだ。

 アメリカでは、10年前後も前から、ビデオによるディスタンスラーニングが変則的な形で行われている。たとえば、グレッグ・ノーマンがやっていたサービスなども良い例だ。企業コンペなどの会場に、ディスタンスラーニングの会社がやってきて、プレーヤー全員のスウィングをビデオで撮り、あとで一人一人のスウィング画面の横に、ノーマンのスウィングを写して、比較させると同時に、スウィングの欠点などを解説したビデオを、個人に送るというものだ。

 ビデオによるレッスンが行われるようになって久しいが、画面を2分割して、コマ送りにするなど、こうしたビデオレッスンで培われたノウハウが、インターネット通じたディスタンスラーニングで花開いたといえるだろう。

 たとえば、デビッド・レッドベターやブッチ・ハーモンなども使用しており、撮影された自分のスウィングの問題を見つけ、それを修正するドリルまでついているというV1ゴルフソフトを開発したインターラクティブ・フロンティアーズ社(V1Golf.com)のクリス・ハート社長によると1年前はオンラインレッスンに登録していたゴルフプロ(レッスンプロ)は60名あまりだったが、今年はすでに500名になっており、恐らく来年は2000名を超えるとのことで、ひとりのレッスンプロが、どれくらいの生徒を抱えているかはわからないが、とにかく爆発的な勢いで普及し始めているといえるだろう。

 これを利用するレッドベターによれば「もちろん、マンツーマンのレッスンに勝るものはない。しかし、もし実際のスウィングを見ることができないとしたら、インターネットを活用したチェックシステムが次にベストな選択であることは間違いない」とかで、イギリスのL・ウエストウッドやオーストラリアのA・バデリーなどには、このシステムを通じて、レッスンを行っているそうだ。ある意味では、レッスンプロにとっても、物理的にひとりの教え子に割ける時間が限られていることから、このシステムによって、より多くの生徒を抱えることができるというメリットもあるのかもしれない。

 こうした人気を背景に、こういったオンラインレッスン事業に続々と新企業が参入しているようだ。教わる側はブロードバンド・インターネット接続の環境のもと、パソコンとデジタルビデオカメラが必要となるが、いずれもすでに急速に普及しつつある。アメリカほど国土が広いわけではないが、日本でも同様のオンラインレッスンが広まる可能性は十分にある。

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