週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。
このところ盛んな「クラブ試打会」だが、一般ゴルファーの中には、二の足を踏む人が少なくない。上級者や試打会の常連さん(会場の練習場の常連)ならば気後れしないのだろうが、アベレージクラスには気軽に申し込めない雰囲気があるようだ。 また、試打クラブを貸出しし、実際のラウンドで試打させるサービスを実施するショップが増えたが、これも常連以外には案外借りにくい。 「借りるだけ借りて、買わないわけには……」と躊躇させるのだ。第一、貸出しクラブ自体、本数がそれほど用意されていないので、思い通りには借りられない。ましてや、2~3本一緒に借りて打ち比べするのはなかなか難しいようだ。 クラブの試打機会は“あるようで、案外ない”と感じている人が多いようだ。 そうしたユーザー側の不満、不便さを解消するために、各メーカーに替わって試打クラブを直接ゴルファーに届けるビジネスを展開しているのが、岡山市に本店のあるショップ「プロツアー・スポーツ」だ。 同社は6年前に複数メーカーから試打クラブの提供を受け、ユーザーに貸出する「クラブステーション」事業部を立ち上げた。有料だからいわゆるクラブレンタル業なのだが、同社では、「あくまでもメーカーとゴルファーをつなぐパイプ役。一般ゴルファーの試打機会を増やすことで、マーケットの活性化をバックアップするのが目的です」(同事業部担当者)と強調する。 実際、貸出し料金は3泊4日で、ウッドは3本まで3990円(往復送料込み。ただし、北海道・沖縄・離島は1050円増し)と比較的安価。そして、ウッドの貸出しには、「1本ではなく、是非複数のクラブを試打してみてください」と3本までの注文を薦めるほど、ユーザーとメーカーに配慮している。 この事業が最近急拡大。1年前に比べ約1.5倍、月1000件もの注文を受けるまでになっているのだ。ちなみに、現在は全18社のクラブを用意(非取扱いのおもなメーカーは、エスヤードとホンマのみ)している。 電話のほかに、インターネットでも注文できる手軽さが浸透したことに加え、昨年は複合ヘッドの登場で試打に対するニーズがかなり増したようだ。 ところで、同社に試打クラブを供給するメーカーの見方だが、 「当初、ユーザーはあまりいないだろうと考えていましたが、それがそうでもなかったんですね」と語るのは、マルマンゴルフの大塚賢二氏(広報担当)だ。同氏によれば、クラブ貸出しのサービスを積極的に行っているのは大都市の大きなショップや郊外の大型チェーン店で、地域的によっては利用しづらいところが案外あるそうだ。 また、最近は管理上の問題(持ち逃げ)からショップの中には、貸出しサービスを控えるところが増えてきたという。 「そのため、いざコースで試打したいと思っても、借りられない人が意外と多いのが実情で、そこで同社の存在が注目されるようになったのでしょう」(大塚氏) しかし、別のメーカーの関係者は、同社のメリットは認めながらも「こうしたビジネスの需要があるからといって、同じような会社が次々と現れ、もっと便利になると、購入を前提にした試打ではなく、単に“クラブレンタル屋”として利用される恐れがありますね」と不安点を明かしてくれた。 どうやら、ちょっと便利なうちはいいが、便利になり過ぎると業界的には困るという、なんとも微妙な立場の商売のようだ。