Back9記事詳細
 

週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。

週刊ゴルフダイジェスト 7/13号
2004年更新

陰でスウィング批判を行う元専属コーチの
ハーモンに、タイガーが珍しく怒りを露に

 今年の全米オープンは大バトルの末、レティーフ・グーセンがフィル・ミケルソンを押さえて優勝した。そんな優勝争いの陰で、もうひとつ、世間を騒がすバトルが繰り広げられた。タイガー・ウッズの元コーチ、ブッチ・ハーモンとタイガーのバトルだ。

 コトの始まりは、全米オープンの週に英国テレビ局のインタビューを受けたハーモンが、タイガーの不調の理由をこんなふうに語ったことに端を発する。

「タイガーは自分のスウィングが向上しているなんて言っているが、彼は毎週毎週、異なるポイントを改造しようとしている。今週はこれ、翌週はあれ、という具合。あれではスウィングがおかしくなるのも当然だ」

 さらにハーモンは、タイガーのバックスウィングがインサイドに入りすぎていること、下半身が暴れすぎていることなどを指摘。タイガーのスウィングとスウィング改造の欠点をあれこれと説明してみせた。

 米メディアがこのハーモン発言に対するリアクションをタイガーに求めたのは3日目のラウンド終了後だった。

「ハーモンがテレビのインタビューで言ったことを聞きましたか?」と尋ねられたタイガーは、「聞いたよ」と答えた後、ハーモン発言への反撃を語り始めた。

「なぜ、ブッチがあんなことを言ったのか、僕には理解できない。僕が日々どんなことをどんなふうに取り組んでいるかなんて、僕はブッチに話したこともないし、ブッチが僕に尋ねたこともない。そんなことは誰も知るよしもないんだ。それなのに、どうして彼はああいうことを言ったのか、まったく理解できない。ブッチの得にも誰の得にもならないはず。友達だと思っていた人が、僕には何も言わず、僕は巡り巡ってメディアから聞くなんて……言いたいことがあるなら、ちゃんと僕に向かって言うべきだ」

 タイガーは声を荒げたりはせず、必死に平静を装っていたが、彼の怒りが心頭に達していることは明らか。うつむき加減のまま、「理解できない」を繰り返すタイガーが二度とブッチに指導を仰がないであろうことは、はっきりと見て取れた。

 そして、翌日。ハーモンは、さらなるタイガー批判を、今度は米国テレビ局のカメラの前で披露した。内容は初回の英国テレビ局のときとほとんど同じだが、その態度は一層激化し、まるで「ケンカを売っている」ムード。最終日にチャージをかけることもなく17位タイに終わったタイガーには、米メディアもそれ以上、ハーモン問題を尋ねられず、2人のバトルは、とりあえずここまでで終わった。

 このバトルをUSGA側は「試合とは無関係のサイドストリー」として無視していたが、ハーモンの言動には怒りを感じている様子だ。

「ブッチは誰にでもタイガーの悪口を言う。メディアの一部から、ブッチをインタビュールームに呼んでくれというリクエストもあったが、優勝争いをしている選手のコーチでもなく、タイガーの専属コーチでもないブッチを呼ぶ理由はないので却下した。ブッチがタイガーの悪口を言い触らす手伝いを、USGAがやるつもりはない」(USGA関係者)と、憤慨気味。

 振り返れば、プロ入り以来、タイガーの横には常にハーモンの姿があった。いや、タイガーとハーモンの親交はタイガーのジュニア時代、アマチュア時代にまで遡る。全米ジュニア3連勝、全米アマ3連勝、97年マスターズを皮切りに重ねてきたメジャー8勝等々、すべてがタイガーとハーモンの二人三脚による快挙だった。

 そんな黄金コンビに陰りが見え始めたのは02年の後半から。その原因は、全英オープンで大崩れしたタイガーがハーモンのコーチ術に疑問を持ったからだとも言われているし、契約金の額でもめたからだとも言われているが、真相はわからぬままだ。いずれにせよ、同年8月の全米プロでタイガーとハーモンが言葉すら交わさないことにメディアが疑問を抱き、タイガーに尋ねたところ、「これからはスウィングチェックは自分でやる」と答えている。

 昨年も2人がスウィング造りに取り組むことはなく、ついに今年始め、タイガーの口からはっきりとした決別宣言が出された。巷では「ハーモンと離れたため、タイガーは不調になった」「ハーモンなしではメジャーに勝てない」といった声も聞こえてくる。そんな状況下で、ハーモンが強気の態度に出たのかどうかは不明だが、タイガーが言った通り、直接言わずに陰で批判めいたことを言いふらすハーモンの態度はいただけない。

 今でも、ハーモンは、A・スコット、F・カプルス、D・クラークら教え子は多い。当然、試合会場にも顔を出すわけで、タイガーと顔を合わせる機会も多い。さて、今後2人が歩み寄る日は訪れるのだろうか?

バックナンバー

最新号はこちら

週刊ゴルフダイジェスト最新号

アクセスランキング

  • 月刊GD
  • チョイス
  • みんなのゴルフダイジェスト
ゴルフ会員権情報
ゴルフダイジェストの会員権情報です