週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。
主な部分は、ビジターのキャンセル料を2000円から3000円に上げ、これまで無料だったメンバーにも新たに2000円のキャンセル料を設けたもの。適用されるのはプレーの2日前からで、3日前までのキャンセルについては無料である。土曜日のプレーなら、水曜までは無料で木曜以降はキャンセル料が徴収されるわけだ。 このキャンセル料、決して珍しいものではないが、多くのゴルフ場で規定はあるが有名無実化しているというのが実態だ。 「キャンセル料を取るようにしたんですか? 羨ましいですね~。キャンセル料どころか、3日前になっても前日になっても、まだ枠が空いているというのが現状ですから」と羨ましがるのは、都心からは遠隔地に位置する栃木県の某ゴルフ場の支配人。羨ましいのは、キャンセル料が入るからではなく、それだけお客さんが来てくれるから、という部分である。今回の東京国際CCで珍しいのは、この時期に適用を厳しくしたことと、メンバーからも徴収するようにした点といえる。 そういえば、久しく話題にならなかったキャンセル料、厳しく適用していたのはバブルの頃だった。その後は、入場者の減少とともに「次に来て頂ければ結構です」というように、名目だけになっていった所が多い。もっとも、組数が多いコンペなどは、キャンセル料の規定がきっちりと適用されている。 プレー希望者がそれだけ多いことが、同CCでの改定の背景だろうが、もうひとつ、最近のゴルファーが、キャンセル料が無料だということにまかせ、気軽にキャンセルしてしまう風潮があることも見逃せないようだ。 「夏冬はともかく、オンシーズンの、とくに土日はキャンセル待ちの方もいらっしゃいます。事前に連絡頂ければ、そうした方々もプレーできるわけです」(東京国際CC営業担当) もちろん取り消された予約枠が空欄のままよりキャンセル料が入ったほうがいいが、それよりもプレーをしたい人に楽しんでもらうため、というのが大きな要素だろう。それに、「天気予報が雨だと、前日にキャンセルする方が多かったのも事実です。当日は降らなかったというケースもよくありますし」(同CC営業担当)と、天候によってキャンセルが激増するという風潮もある。メンバーだから、ビジターだからというのではなく、安直なドタキャンはゴルファーとして考え直す必要があるかもしれない。 同CCでの今回の新ルールはすでに4月から実施されているが、反応はどうだったのか? 「メンバーさんには会報でお知らせしたのですが、読まれていない方がいて、1カ月半くらいは強く言われました。最近ではそういう規定に納得して頂いたようで、とくに問題はありません」(東京国際CC) ビジターはともかく、メンバーであれば、天気を見ながらプレーするかどうかを決める、そんな我儘が効くのも特権のひとつであったはずだが、キャンセル料が取られるのではそれもままならない。しかし、同CCは立地にも恵まれた人気コース。予約なしでのプレーを認めると、大勢のメンバーが当日来場し、プレーできない人も出てくる恐れがあることもあって、そもそも基本的にメンバーにも予約をお願いしている。 いずれにしろ、人気コースゆえに、少しでも多くの人がプレーの機会を持てるように、メンバーもそれなりの意識を持って欲しいということのようだ。 東京国際CCの近隣では、桜ケ丘CCも、ビジターだけだがキャンセル料を取っている。というように、この一帯は人気地区である。前出の栃木県の某コースの話のように、まだまだ立地の遠近による二極分化は解消していない。こうした風潮が都心から離れたコースにまで波及していくようなら、本当にゴルフ場の入場状況が上向いてきたという証明にもなるのだが。さて、ゴルファーにとってはどちらがいいのか?