週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。
というのは、中嶋常幸と友利勝良が同大会でシニアデビューするからだ。過去、日本のシニアツアー発足後にシニア入りが話題となったのは、杉原輝雄、青木功、ジャンボ尾崎、尾崎健夫、飯合肇といった面々だが、その後の動向を見ると、杉原はシニアの試合には参加しつつも現役にこだわる姿勢を見せており、青木はアメリカのシニアツアーを主戦場としている。ジャンボに至っては国内外問わずシニアの試合にはまったく興味を示していない。尾崎健夫と飯合はともに昨年米シニアツアーのQスクールを受け、飯合が狭き門を突破、現在同ツアーで奮闘中である。 このように、現在の日本のシニアツアーでは、かつて第一線で活躍した選手の参戦は思ったほど多くなく、それが現在のシニアツアー年間試合数「6」(賞金ランク加算試合)という惨憺たる状態のままである一因ともなっているのである。 そんな中、かつてのAONの一角、中嶋常幸が今年の日本シニアオープンに参戦を表明、またかつて4年間にわたり欧州ツアーに挑戦した友利勝良も出場するとあって、これを機にシニアツアーへの注目度が一気に高まるのではとの期待感がある。 ちなみに中嶋は1954年10月20日生まれ、友利は同10月25日生まれで大会直前に50歳を迎えているため、出場資格が生じ、JGA特別承認者というカテゴリーの適用を受け今回の出場と相成った。 そこで、2人の今大会にかける意気込みと今後の試合ツアー参戦の予定やシニアツアーに関する意見などを聞いてみた。 中嶋が今回シニアオープンに参加を決めた理由は「年齢が来たからという単純な理由、それに日本と名の付くタイトルは獲っておきたいということもあった。出るからにはもちろん優勝を狙う」と言う。今後のシニアの試合への参加予定だが「今のところ他の競技については予定はない。欧州ツアーへは参加する気持ちはないが、全英シニアオープンへは出てみたい。米シニアツアーは、かつて自分が戦ったT・ワトソンやT・カイトらとまた戦える楽しみがあるから参戦してみたい気持ちはある。ただ、今年の米シニアツアーのファイナルQスクールが日本のダンロップフェニックスと重なることもあって、受ける可能性は少ない。自分の中ではフェニックスは日本オープンと同等の重みをもった試合と位置づけており、これに現役選手として優勝を狙える力と気力が残っているうちはこちらに挑戦していきたい。日程的に今後も重なるようなら、米国のQスクールへの参加は当分考えられない」とのことだ。 現在の日本シニアツアーの衰退傾向と今後の活性化に関しては、「スター選手の不在が大きいと思う。米シニアツアーも、パーマーや二クラスなどの参戦があったからこそ今の隆盛がある。そういった意味でも自分だけではなく(尾崎)健夫や倉本(昌弘)、友利や(尾崎)直道や湯原(信光)、芹澤(信雄)といった選手がシニアに参戦することで活性化につながればと思う。数年後に20試合くらいにしたいという気持ちはある。また、シニアというと和気あいあいといった雰囲気が前面に出てしまい、競技のシビアさが伝わってこないの今後の課題ではないか。米シニアのような競技レベルの高さの上にファンサービスがあって初めて人気が出るものだと思う」との意見を語った。 一方、友利は「たまたま誕生日直後に日本シニアオープンがあったから、50歳という“若さ”で試合に出られる機会は今年だけだから」とのこと。今後については「シニアの情報を把握してないのでなんとも言えないが、日程さえ合えば欧州など海外のクオリファイは受けたいという気持ちはある」とのことだ。 あの中嶋もついにシニア入りかと、感慨深いというファンも多いのではないか。とはいえ、中嶋も友利もともに今後もレギュラーツアーに参戦していくことに変わりはなく、いきなりシニア界が活性化するとも考えられないが、以後続くスター選手の参入を機会に衰退期にあるシニアツアーの活性化につながればとの期待は膨らむ。