週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。
「フォーゲット・ザ・リーダーズ。ウィ・イズ・スティーリング・ザ・ショー」(トップの選手はどうでもよく、試合はウィが中心)という見出しを掲載したのは、ニューヨークタイムス紙だが、大会期間中、話題の中心はウィひとりに集中した。 ウィは今回、主催のUSGA(米国ゴルフ協会)の特別招待により出場できたわけだが、「ウィのこれまでの実績が、出場に値することを証明している」とは、USGAのD・フェイ専務理事だが、これまで同大会でアマチュアが特別招待を受けたのが、過去1度だけだったので、LPGAのベテラン選手から、批判の声が出ていたのだ。もちろん、ウィに対する批判ではなく、USGAが人気獲りのために、ウィを利用しているということだが、実際、蓋を開けてみると、ウィ効果は十分すぎるほどだった。 USGAによれば、今年の全米女子オープンのギャラリー数は過去最高で、1週間でなんと11万8000名を超えたとか。昨年の9万2000名から28パーセント以上増えている計算になる。 そのウィは、3日目の18番でダボを叩き、優勝争いから脱落したが、結果的には1オーバー(71-70-71-73)でベストアマ(タイ)の14位タイとなり、来年の出場権を手にしたことから、USGAとしては、「招待に値する実力があった」と、胸を撫で下ろしたが、ここで、新たな問題、批判の声が出てきた。というのは、アマチュアを招待するのはいいが、当然ウィは賞金はナシ。USGAは招待するだけで、交通費も宿泊代も出すわけではない。ウィのお陰で、数億の収入を得たにもかかわらず、出すものは1銭も出さないというのはちょっとおかしいのではという批判だ。 そんな声を受け、USGAは、「たしかにおかしな話で、選手が(試合出場に必要な)経費も受け取ることができないなんて、ゴルフ界によってもマイナスなことになる。私たちは、(アマチュア規定の)ルールを改正する方向で動いている。それほど裕福でない選手がアマチュアとしてプレーを続けようと思ったら、大変なこと。試合に出るには非常にお金がかかるからだ」(フェイ専務理事)と、アマチュア規定の変更まで検討しているのだ。それもこれもウィ効果のひとつといえる。 もっとも、米LPGAのほうは、18歳というプロ入りの年齢制限を変更する予定はないようだが、ウィ本人は、「まだ高校が3年あるし、大学にも行きたい。お金のことは、大人の人が考えること」とあっけらかん。父親のB・J・ウィさんにすれば、いずれプロ入りするのだから、大学に行くより早くプロ入りして欲しいといった意向があるようだが、いずれにしても、ウィが高校在学中の3年間は、アマチュアとして、春、夏などの休みの期間に、プロに混じったプレーをすることになることは間違いがなさそう。 来年の夏は、男子トーナメントに重点を置いて挑戦していく予定とかで、男子の全米オープンの予選会にも出場するつもりとか。ウィにすれば、ただ試合でゴルフをしたいだけで、お金やアマチュア問題など、周りの雑音は関係がないということか。