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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。

週刊ゴルフダイジェスト 8/17
2004年更新
米ツアーの飛距離UP傾向もようやく止まり
今季活躍中のプロは飛距離より方向性UP
 ドライバーの飛距離の伸びがようやく止まったようだ。今季米ツアーも、まもなく終盤戦に入るが、今年、トッププレーヤーたちのコース攻略法が、変わってきていることをデータから検証してみよう。

 過去数年間、クラブやボールの進歩で、毎年、大幅に伸びていたドライバーの飛距離が、今年は、わずかだが下がっている。ドライバーのスプリング効果の規制が効果を表してきたと言えるのかもしれないが、それ以上に注目したいのは、今年活躍しているトップの選手が、飛距離を犠牲にして、フェアウェイキープ率を重視し始めているように見えることだ。

 興味深いのは、現在賞金ランク1位のP・ミケルソンをはじめ、V・シン、E・エルス、S・ガルシア、R・グーセンといった、今季活躍中の選手らが、こぞって飛距離を落としているのに対し、昨年の賞金ランクの2位と3位だったT・ウッズとD・ラブIIIが、逆に飛距離を伸ばし、フェアウェイキープ率を落していることだ。ミケルソンなどは、昨年と比べ、実に平均飛距離を10.9ヤードも落とす一方で、フェアウェイキープ率を49パーセントから68.3パーセントへと大幅に上げている。単純に考えれば、これがミケルソン復活の鍵になっているようで、逆にタイガーやラブは、飛距離を優先させたことが、不振に繋がっているようにも思えてくる。

 もちろん、前記の選手らは皆、平均飛距離でトップ30位以内には入っており、飛距離が落ちたといっても飛ばし屋であることに変わりはないのだが、数字で見る限り、平均で295ヤード以上飛ぶなら、それ以上飛ばすより、フェアウィイキープ率を優先させたほうが有利ということになのだろう。いずれにしても、トップの選手らが、ティショットの方向性を重視し始めていることは間違いなさそう。

 そうした中で、ちょっと気になるニュースが飛びこんできた。全英オープン後のインタビューで、R&Aのピーター・ドーソン事務局長が「用品の技術の進歩に対して、何らかの歯止めが必要だと、現役のトッププロたちが、R&Aを支持してくれているんだ。これまでにも、用具の制限を支持してくれる選手もいたが、それは往年のビッグたちで、現役のトッププロたちから、そうした言葉が出たのは初めて」と語っているのだ。

 ドーソン氏の言う現役のトッププレーヤーというのは、ウッズ、エルス、そしてC・ハウエルIIIの3人。R&Aは「緊急の課題ではない」とするも、すでにスプリング効果や長尺ドライバー、ヘッド体積、ゴルフボール制限を行い、少なくとも飛距離の点で「技術の進歩」に対して制限を加える対象がなくなってしまっているのも事実といえるだろう。となれば、残るは、方向性に対する制限ということになるというわけか。

 実は、ニューヨークのデーリーニュース紙が、このR&Aの発表を受け、大人気のテーラーメイドのr7を「論争を巻き起こしている問題のドライバー」と紹介しているのだ。r7は、ご存知のように、ソールにある4カ所の錘を調整することによって、ボールの球筋・弾道を変えることができるクラブ。ある意味では、方向性を重視し始めたツアープロたちの要求にピッタリのクラブで、同紙によると、グーセンやガルシアだけでなく、シンまでが、クリーブランドのヘッドカバーに隠して使用しているというほどで、それだけツアーでも人気になっているのだが、それだけに、こうした調整可能なクラブに対して、R&Aが規制の目を向け始めているようにも思えてくる。

 こうなると、ウッズ(ナイキ)、エルス(タイトリスト)、ハウエル(キャロウエイ)と、r7を使用できない選手が、R&Aを支持しているというのも、偶然の一致だけではないように思えてくるのだが……。いずれにしても、トレンドは、飛距離よりも方向性に流れていることは間違いないようだ。

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