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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。 内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。 |
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週刊ゴルフダイジェスト 8/17 |
2004年更新 |
GS系の緑営グループのうち5コースが
民事再生手続き廃止、破産に移行した理由
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熾烈な国内ゴルフ場買収合戦を繰り広げる外資系大手2社のうち、ゴールドマンサックス(以下GS)系のゴルフ場運営会社、(株)アコーディア・ゴルフが、発足1周年のパーティを都内のホテルで盛大に行い、竹生道巨社長が、2年目の運営方針を発表した。
竹生社長によると、1年目は、コースコンディションの改善、プレースタイルの多様化、プロショップの強化など、インフラ整備に力を入れ、「03年には全国のゴルフ場の入場者数が、対前年比で1.4パーセント減という悪環境の中、当グループは16.7パーセント増、18ホール当たりでは11.1パーセントの伸びを見せた」とし、2年目は、会員特典として、無料スウィング診断、ショップでの割引販売、グループ内他コースとも共有のポイントカードシステムの充実、グループ内の会員限定の大会を開催、全会員対象の機関誌の創刊など、とくに会員サービスの充実に力を入れているという。
そのほか、全74コースのうち、旧スポーツ振興グループ(26コース)、旧・緑営グループ(13コース)については、「スプリングス」「スポーツ振興」の名前を取り、名称変更し、イメージ一新を図るなど、運営会社のアコーディア・ゴルフでは、経営再建に向けて、着実に地盤を固めつつあるが、親会社であるGSの側にちょっと気になる動きが見られた。
スポンサーとなり民事再生手続きに入っている旧・緑営グループ9社(18コース)のうち5社(5コース)について、すでに手続きの開始決定が出ている民事再生法による再建を断念、破産手続きで処理することになったのだ。
すでに、グループ9社のうちゴルフ場経営会社ではなく、しかも再建のメドが立たない緑営建設(株)と緑営観光開発(株)の2社は破産宣告を受けているし、9コースを経営する緑営開発(株)と、5コースを経営する東京湾観光(株)の2社については今年4月、書面投票が実施され、賛成多数で計画認可決定を受けている。
処理が決まっていなかった、阿蘇やまなみRホテル&GCなど3コースを経営する東京リゾート(株)と、猪苗代GCを経営する猪苗代高原リゾート(株)、岐阜SCCを経営する(株)蘇水峡開発、それに運営会社の九州リゾート(株)、中越観光開発(株)の合計5社については、「収益の改善が見込めず、再生計画案が書けないため計画案提出を見送った」(GS)というのだ。
このため、東京地裁が7月19日付で再生手続きの廃止決定を下し、監督委員だった三村藤明弁護士を保全管理人に任命、近日中に破産宣告が下りる見込みだ。5コースは売却されることになるが、「会員のプレー権は保証する方向で譲渡先を探す」(保全管理人・三村弁護士)とし、売却先の候補はすでに数社あり、プレー権は引き継がれる模様だが、配当率は緑営開発が0.35パーセント、東京湾観光は1.35パーセント。残る5社はこの破産で配当率はゼロになってしまう。
ただ、そもそも配当率算出の元になる再生計画立案の時点で不明朗さに気になる点がないでもない。そもそも先にGSが経営権を獲得し、入札なしでスポンサーの座を得てから再生法を申し立てるプレパッケージ方式だったにしても、“宿敵”ローンスターが巻き返しの復活戦を一切試みなかったこと、そして改めての入札実施を求めて上申書を出していたりそな銀行までもが、その後沈黙してしまうなど異例づくめだったため、会員への配当率に比べ、大口抵当権者には相当手厚い配当がなされたのではとも噂されているのだ。
また、監督委員・三村弁護士が裁判所に提出した意見書には、“スポンサーを決めるための入札を行わないというのなら、入札を行ったときと比較しても債権者に不利益にならないよう、財産評定や、それに基づいて算出される弁済率についての説明が必要であること、そして実際に各コースの査定の説明が不足していること”が指摘されている。
一連の処理について、ゴルフ場問題に詳しい弁護士は「資産がかなり低く査定された印象はあるし、関与した申立代理人や会計事務所には、一連の手続きの前後でトータル10数億円の報酬が支払われている。会員が意見書をよく読んでいるのかどうか疑わしいが、了承してしまった以上仕方がないが」と話す。
今回、破産になったコースはいずれも売却先が内定、プレー権も保障されたということで、会員にとって最悪の事態は免れたわけだが、それとは別に、民事再生計画の中身について、会員はもう少し把握しておく必要はありそうだ。
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